プールなどの区の体育施設の利用者増加につなげられるか

区内の企業であるタニタと協力して、区民の効率的なヘルスプロモーション活動を推進する事業「いたばし健康づくりプロジェクト」を実施している東京都板橋区。2015年から開始された同プロジェクトは、既に一定の"成果"が出始めている。

そこで今回は、板橋区の区民文化部 スポーツ振興課 管理グループの木村欣司さんに、スポーツ分野の取り組みとその成果について伺った。

3つのコースで区民の健康増進に寄与

同プロジェクトでは、「自らの体の状態を可視化し、把握してもらうこと」などを目的とし、参加者にタニタの活動量計を配布。区内の体育施設や健康福祉センターなどの11カ所に設置された計測スポットで、ウオーキングなどの活動量や体重、体脂肪、筋肉量などが測定でき、そのデータを同社のwebサイト「からだカルテ」で管理することで、体の変化の様子を把握できる仕組みとなっている。

参加者は歩く大切さなどが学べる「健康増進コース」、生活習慣病にかかわるリスクがある人を対象とする「国保生活習慣病予防コース」、スポーツを通じた健康づくりに興味がある人を対象とする「スポーツコース」の中から好きなコースを選択してプロジェクトに参加。セミナーやグループワーク などを通じ、数カ月間かけてコースを"卒業"するという流れだ。

スポーツコース参加者の声は……

木村さんが担当する「スポーツコース」は、9月と10月にそれぞれスタートしたほかの2つのコースに先がける形で、いち早く2015年5月から取り組みを開始。10月からは本年度の後期コースとして、2回目の事業に取り組んでいる。

普段から積極的にスポーツをしており、ウオーキングだけでは満足できないであろう参加者に向け、同コースが考案されたと木村さんは話す。5月開始の前期コースでは、「ノルディックウオーキング講習会」「マラソンサポート講習会」「ボクササイズ」「水泳教室」などのアクティビティーを実施した。

「前期に参加された方からは、『活動量計を持つことで毎日の歩数の明確化ができ、webを通じて活動量や消費カロリーがわかったので、動くことの面白さが増した』などの声がありました。その一方で、『もっとマラソンに特化してほしかった』『もう少し強めのコース内容を希望します』などの意見も見られました」。

現在実施中の後期コースは、前期と一緒のプログラム内容を組んでいる。今後、大きくコース内容を変更させる可能性は低そうだが、マイナーチェンジの可能性はゼロではないという。

街の魅力新発見や施設利用へとつなげる

今年から開始されたばかりの新規プロジェクトだけに、区も手探りで事業を進めている状況といえる。ただ、さまざまな場所を歩いたり走ったりすることを促す同プロジェクトは、区民が街の魅力を再発見するための一助にもなっているようだ。

「板橋区内には体育施設が5つあり、プロジェクトの計測スポットとしても活用しております。このプロジェクトを通じて、『こんな所にも体育施設があることを初めて知りました』などと話す人もみられました。毎日の歩行で健康を増進していただき、その習慣が高じて水泳やエアロビクスなどにつながり、区の体育施設の利用者が増えればいいと考えております」。

前期のスポーツコースには180人が参加し、後期の参加者は200人だった。この増えた20人が揺ぎない"成果"ともいえるが、目標としていた定員は250人だったと木村さんは明かす。

今後、同プロジェクトの存在をもっと区民に知ってもらい、ゆくゆくはスポーツコースへの応募人数が1,000人を超えるようになってくれれば――。木村さんたちスポーツ振興課の挑戦は始まったばかりだ。

※写真と本文は関係ありません