財務省は8日、2015年10月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は1兆4,584億円の黒字となった。黒字は16カ月連続で、黒字幅は前年同月比で6,120億円拡大した。同省は「第1次所得収支において、海外への直接投資に係る配当が引き続き高水準であることや、原油安により輸入額が減少して貿易収支が黒字転化したことなどから、黒字となった」と説明している。

2015年10月経常収支(出典:財務省Webサイト)

旅行収支は10月として最大の黒字

貿易・サービス収支は1,371億円の赤字。赤字は2カ月ぶりで、赤字幅は同8,373億円縮小した。サービス収支が赤字幅を拡大したものの、貿易収支が黒字転化したため、貿易・サービス収支の赤字幅は縮小した。

貿易収支は2,002億円の黒字。前年同月は7,649億円の赤字だった。原油の輸入額が減少したことなどから、黒字転化した。

輸出額は同2,421億円(3.7%)減の6兆3,325億円で、2カ月連続の減少。輸入額は同1兆2,072億円(16.4%)減の6兆1,323億円で、10カ月連続で減少した。

また、同省関税局がまとめた2015年10月分貿易統計(通関ベース)によると、輸出額は同1,448億円(2.2%)減の6兆5,425億円となった。商品別では、船舶が同698億円(44.0%)減、有機化合物が同611億円(28.1%)減、鉄鋼が同599億円(17.3%)減など。主要地域別では、対中国が同448億円(3.6%)減などとなった。

輸入額は同9,949億円(13.4%)減の6兆4,342億円。商品別では、原粗油が同5,310億円(49.2%)減、液化天然ガスが同2,627億円(42.4%)減など。主要地域別では、対中東が同6,685億円(51.5%)などとなった。

サービス収支は3,373億円の赤字。赤字幅は同1,278億円拡大した。旅行収支が1996年以降10月として過去最大の黒字となったが、その他サービス収支が赤字幅を拡大したことなどから、赤字幅は拡大した。

第1次所得収支は1兆7,315億円の黒字。黒字幅は同2,905億円(14.4%)縮小した。「直接投資収益」が減少したことなどから、黒字幅は縮小したものの、1985年以降10月として過去2番目の黒字となった。

第2次所得収支は1,360億円の赤字。赤字幅は同653億円縮小した。