厚生労働省は3日、「2015年賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を発表した。それによると、民間企業で働く労働者の平均賃上げ額(1人当たり)は前年比28円増の月額5,282円となり、比較可能な1999年以降で最も高くなった。改定率は1.9%だった。同省は「景気の回復を背景に企業の業績、雇用情勢が改善しており、その動きを反映している」と分析している。
企業規模が小さいほど賃上げ額は減少
2015年中に平均賃金を引き上げた・引き上げる企業は同1.8ポイント増の85.4%となった。
平均賃上げ額を企業規模別にみると、5,000人以上の企業は同1,204円増の7,248円と、1999年以降で初めて7,000円を上回った。一方、1,000~4,999人は同127円減の5,999円、300~999人は同211円減の4,633円、100~299人は同282円減の3,947円と、規模が小さいほど賃上げ額は低くなった。
同省は中小企業の賃上げ動向について、「(賃上げに向けて)整ってきている状況で、今後とも注視していく」と話している。
産業別では、「金融業、保険業」が最も高く同2,384円増の7,603円。次いで「建設業」が同346円増の7,370円、「不動産業、物品賃貸業」が同161円増の6,381円と続いた。
調査時期は2015年8月、有効回答は常用労働者100人以上の企業1,661社。