ショップにある無数の眼鏡の中から、わざわざ失敗するアイテムをチョイスしていない?

眼鏡業界で働きだしてはや20年。20年前も今も、多くの人の悩みは「自分に似合う眼鏡が見つからない」。その一方で、自分が心から「好き! 」と言える眼鏡に出会っている人もいます。その違いは本当に明らかです。

「いまいち今の眼鏡が気に入っていない」と相談された人の実録をもとに、今回は失敗する眼鏡選びのマスト行動を紹介します。

お店を選んでない

意外と当たり前なことなのに、重要視されていないのがお店選び。もうこの時点で、半分以上は失敗するか否かが決まっていると言っても過言ではありません。「格安眼鏡店」「量販店」「街の眼鏡店」「セレクトショップ」……。ざっとジャンル分けしたこの4つのお店の印象やサービス、品ぞろえの違いわかりますか?

スポーツ店に入ってスーツを探そうとしているぐらい、そこには違いがあります。知らないならまずはいろんなお店に入店してみて、その違いを体感してみてください。

店員無視

これは日本人の方に非常に多いです。店頭に立っているとたまにこういう方を見かけますが、心の中で「ああ、もったいないことを……」と毎回つぶやいてます。

この場を借りて、声を大にしていいます。

「店員を味方につけなければ、あなたが似合う眼鏡はみつかりません」。

なんでこんなに言い切ることができるかというと、「眼鏡を好き! 」と答えるほぼ全員がいい店員さんとの出会いがきっかけだからです。

「デザインが好き」だけでは、やっぱりベストな眼鏡にはならないんです。「掛け心地よく調整できる素材なのか」「度付きレンズを入れても見た目がおかしくないか」といった点がクリアできないと、きっとあなたはその眼鏡を掛けなくなります。

眼鏡店の方はいろんな勉強をしています。店員のセンスやアドバイスが自分に合うか合わないかは、まずは話をしてから判断しましょう。会話をしても絶対購入しないといけないわけではないんだから、その会話を楽しんで。会話することで店員さんのレベルを知ることができますよ。

意志なく買う

「なんとなく」「無難だから」はよく聞く失敗した人のコメントです。これでは自分も周りも「すてき! 」だと思わないのは当たり前。

眼鏡選びの基準すらわからないからこうなってしまうのも理解できますが、顔のど真ん中にくる眼鏡。自分の意志に反し、その眼鏡次第であなたのパーソナリティーを表現していることになるんです。

「仕事ができるような印象に」「優しくみえるように」など、意図をもって眼鏡を選ぶことできっと人生も変わってきます。

ブランドで選ぶ

失敗しないために選びがちなブランド買い。時計、靴、洋服ならまだこれでもOKかもしれませんが、眼鏡はそれがあだになることも。

眼鏡は似たデザインでも1mm、1度で大きく印象が変化します。ジョニー・デップがかけている眼鏡をあなたが掛けても顔が違うので、同じにはならないもの。でも、近い印象には寄せられる。そうするには、ブランドではなくデザインと色を自分に合うものを探しましょう。

鏡をじっくりみていない

購入後に「あれ? なんだか似合ってない気がしてきた」と思って掛けなくなった眼鏡ってないですか? それを解決するにはじっくり鏡でチェックすること。

「目の位置は? 」
「どんな印象に見られるかな? 」
「どんな洋服が似合うだろう? 」

コートを着ていたら、コートを脱いで選ぶことも必須です。眼鏡は一年中掛けるもの。着ている洋服によって、似合う・似合わないがある眼鏡も多いので、いろんなシチュエーションを想像してチェックしてください。靴や洋服は同じようにチェックしているはずでしょう。

めんどくさいという人は信頼できる店員を見つけ、その人に任せるといいでしょう。

流行ものを選ぶ

流行しているものっておしゃれに見えるから欲しくなりますよね。わかります。ただ、流行ものを買う前に自分の髪型や洋服を一度見てみましょう。

流行している眼鏡を掛けてる人と似たスタイルですか? そして、その眼鏡は何年掛けたいと思っていますか? 冷静になって考えましょう。

はやりはいつか終わるもの。終わったら「かっこいい」が「ダサい」に変わることもあります。流行ものを買うときは、そこも理解して購入すると「失敗した」と思わないものです。

フィッティングをしていない

似合う・似合わないってある意味正解はなく、主観です。ただ、顔のバランスやフィッティングが合ってないのは「似合ってない」と位置付けられるでしょう。どんな眼鏡もその人の顔にきちんとフィッティングできていたら、9割は似合っているものになります。

近年、低価格のフレームが主流になり、フィッティングがきちんと行われていない人を多く見かけます。見た目だけでなく医療器具としてもNG。眼鏡店できちんと顔にあったフィッティングをしてもらいましょう。

いかがでしたか? ついつい「失敗しないための選び方」が、実は失敗につながっていたと「ドキっ」とした人も多いかもしれませんね。

眼鏡選びは難しいですが、ちょっと気にしてこだわるだけで本当に人生が変わります。面倒くさがらずに自分が「似合う! 」と自信がもてる眼鏡探しを楽しんでください。

筆者プロフィール: 藤 裕美(とう ひろみ)

1977年福岡県生まれ。眼鏡スタイリスト。10年間、眼鏡屋で働きながら彫金技術を学び、ネジからすべてメガネを製作、個展もひらく。2001年、24歳のときに店長として、SHOPプロデュース、買い付け、さまざまなイベントを企画。2007年、ドイツへ渡り、眼鏡ブランド『FROST』に勤務。作り手側からも眼鏡の知識を深める。帰国後、2009年から眼鏡スタイリストとして活動を開始。いとうせいこう氏との出会いにより、自身のHPで「眼鏡予報」スタート。2011年10月「めがねを買いに」(WAVE出版)出版。 国内外で著名人のスタイリングや、メディア露出、誌面でのスタイリング、講演会、デザインアドバイス、コンサルタントなど、メガネにまつわることをなんでもしている。また、ファッションだけではなく、目の健康や医療器具としてのメガネ選びの大切さを社会福祉施設や幼稚園などに訪問し伝える活動をしている。眼鏡というキーワードを軸に常に新しいメガネの発信を続けている。