JR北海道はこのほど、利用の少ない列車見直しの説明状況を公表した。気動車で運転される列車を対象に、2016年3月ダイヤ改正で計79本の普通列車の減便を検討しており、「見直しのお願いをしている列車一覧」も公開している。
同社は今年9月、車両・施設の老朽・劣化が進行し、これらの更新・修繕に必要な資金が不足していることなどを理由に、安全を確保しつつ事業を継続するため、利用の少ない列車・駅の見直しを実施すると発表した。
主力一般気動車キハ40系も老朽・劣化が著しく、車両の故障・使用不能などが頻発しており、これ以上の使用に耐えない車両は廃車せざるをえない状況に。気動車の普通列車は利用者の長期減少傾向が続く中、JR発足以来ほとんど運転本数を見直しておらず、1列車あたりの利用者数も非常に少ないことから、「やむをえず、運転本数の見直しについて、関係する自治体などにお願いをしているところ」(JR北海道)だという。
「見直しのお願いをしている列車」全79本も公開された。函館本線・室蘭本線などの特急列車が行き交う路線でも、普通列車の全区間廃止または区間短縮が目立つ状況に。室蘭本線では、長万部~東室蘭間の普通列車のうち下り2本が全区間廃止、下り1本・上り3本が長万部~豊浦間廃止に。糸井~苫小牧間の区間列車も3往復が全区間廃止とされた。
浦臼~新十津川間は1日1往復に - 6時間以上列車が来ない区間も
根室本線では、音別・白糠~釧路間の普通列車3往復が全区間廃止に。宗谷本線も名寄駅以北で下り・上り3本ずつ全区間廃止、下り・上り1本ずつ区間短縮される。石北本線では、白滝~遠軽間の普通列車2往復が全区間廃止とされ、同区間は特別快速「きたみ」を除き、普通列車は上下各2本のみとなる。
特急列車の走らない区間も大幅な列車見直しが検討されている。札沼線(学園都市線)では新十津川駅まで運転される普通列車3往復のうち、2往復が浦臼駅までの運転に。浦臼~新十津川間の列車は朝9時台の1往復が残るのみとなる。函館本線長万部~小樽間では、長万部駅発着の普通列車のうち、下り3本・上り2本が区間短縮または廃止に。長万部~蘭越間では日中、6~7時間にわたって列車が来ない時間帯が生じることになる。
石勝線新夕張~夕張間も普通列車4往復が廃止となる。「花咲線」の愛称を持つ根室本線釧路~根室間では、釧路~厚岸間の普通列車2往復が全区間廃止、釧路~根室間の普通列車も上り1本が全区間廃止、下り・上り1本ずつ厚岸~根室間廃止とされている。釧網本線では、釧路~川湯温泉間の普通列車1往復と網走~知床斜里・緑間の普通列車3往復の廃止(一部列車は区間短縮)が検討されている。
JR北海道によれば、今回の列車見直しで関係する自治体は57市町村に及び、朝の通学時間帯の列車は極力確保しつつ、日中・夜間の利用の少ない列車を中心に、地元にできるだけ迷惑をかけないように列車見直しを進めていくことなどを説明しているという。今後も引き続き、関係する自治体などに説明を重ねていくとしている。