成長ホルモンにとってよいライフスタイルを持てるようにしよう

成長ホルモンは美容やダイエットなどにおいて、非常にプラスになる存在だ。だが、その分泌量は早ければ20歳を待たずに減っていく。そのため、成長ホルモンにとってよいライフスタイルを持つことが重要となる。

本稿では、ホルモンに詳しいAACクリニック銀座の院長・浜中聡子医師の解説をもとに、成長ホルモンが分泌されやすい習慣について紹介する。

ノンレム睡眠を意識しつつ、0時前睡眠を心がける

体組織の修復・再生や免疫力の維持、脂肪の分解などの働きを持つ成長ホルモンは、睡眠中に大半が分泌されている。そのため、効率よく成長ホルモンを分泌するには、質のよい睡眠を確保する必要があると浜中医師は指摘する。

「寝付いてから30分~1時間ほどして訪れるノンレム睡眠時に、1日に分泌される量の70%の成長ホルモンが分泌されています。ノンレム睡眠は脳が寝ている状態で、深い眠りについている時間帯。ちょっとしたことで起きにくいときに、成長ホルモンが出ているのです」。

私たちは睡眠時、脳が寝ている「ノンレム睡眠」と体が寝ている「レム睡眠」を約90分のサイクルで繰り返している。就寝後はノンレム睡眠を経てからレム睡眠へと移行し、その後はこの2つを繰り返す。一般的にノンレム睡眠は深い眠り、レム睡眠は浅い眠りと言われており、レム睡眠中に起きると目覚めがすっきりする。

成長ホルモンの分泌量がピークとなるのは眠り始めてから1時間半~2時間後とされている。特に睡眠は午後10時~10時半に就寝できれば理想だが、その時間帯はまだ仕事をしている人も多いはず。テレビの連続ドラマなどが気になる人もいるだろう。

せめて日付が変わる前までには眠れるようにしたいが、その際は自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれる「メラトニン」を活用したい。

「真っ暗な部屋で寝ると、メラトニンの分泌が促されます。メラトニンを利用してしっかり寝て、寝起きをよくすることも成長ホルモンにとっては大事です」。

アミノ酸が成長ホルモンの分泌を促す

睡眠以外では、食事と運動も重要な要素となる。

食事面では、成長ホルモンを効率よく分泌するためアミノ酸を摂取するとよい。たんぱく質を意識的に摂(と)り、それが難しい日などはサプリメントでアミノ酸を補うようにしよう。そのほかでは、にんにくなどに含まれるアルギニンや、しじみなどに含有されるオルニチンなども摂取したい。

運動面では、筋肉を付けて基礎代謝を上げると成長ホルモンの分泌が促される。

「筋肉を付けると成長ホルモンの分泌が促進され、基礎代謝量も上がり、より筋肉が付けやすくなります。成長ホルモンと筋肉は密接にリンクしているので、うまく循環するための『正のサイクル』にもっていきましょう」。

自分のペースで「健康な生活」へとつなげる

成長ホルモンを効率よく活用するには、「質のよい睡眠の確保」「良質なアミノ酸の摂取」「適度な運動習慣」の3点が必要となる。すなわち、いわゆる「健康的な生活」をいかに送れるかがポイントとなる。この3つをすべてこなすのは容易ではないが、まずはできるものから着手し、次第に普段の生活を「健康的な生活」へと変容できるようにしてみよう。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)

医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。