キャセイパシフィック航空は11月25日、過去最大規模のリサイクルプロジェクトとして、運航機材からの退役を順次進めているエアバスA340の解体およびリサイクルに着手することを発表した。
同社では資源の有効活用と消費燃料や廃棄物の削減を含めた持続可能な発展に積極的に取り組んでおり、任務を終えたエアバスA340の最終処分に際しても大幅な廃棄物の削減を実現するという。同社によると、これまでの取り組みでは機体重量の90%相当をリサイクルし、埋め立て処分となる廃棄物の割合を10%以下に抑えているという。
同社は1機目のエアバスA340-300を1996年に受領後、長距離および中・近距離路線において約1万3,000本のフライトを運航。エンジン4基を搭載する同型機は順次退役を進めている。同社はフランス南西部に施設を構える英国のエアフィン社を通じて、環境への配慮がより行き届いた解体方法を選択している。
2015年に退役した4機のエアバスA340はすでに解体施設へと輸送されており、3段階でのリサイクル行程が進められる。第一段階は機体の分解とタンクから燃料や水を抜く作業、第二段階ではエンジンや着陸装置といった機体を構成する様々な部品や装置が取り外され、それぞれ点検や清掃を済ませた後に再利用される。最終段階ではリサイクル不可能な廃棄物となる部分を分解するとともに、その他のワイヤー部分などを分別し、胴体部分は切断されてから分別の後にリサイクル業者へと回される。
解体工程で取り外されるエンジンや着陸装置などは、点検や清掃を済ませてから再利用される |
機体重量の40%を構成するアルミは溶解された後、窓枠やドアなどの建設資材や航空宇宙、自動車産業用の素材として再利用される。このようにリサイクルされるアルミは、金属精製の初期段階で費やされるエネルギーを削減できるという利点も備えているという。
同社では現在、燃費の劣る旧型機をより騒音が低く燃料効率に優れた最新鋭機へと入れ替える運航機材の刷新を継続的に推進しており、エアバスA340-300の退役もこの一環となる。残る7機のエアバスA340も2017年末までには退役完了を予定している。同社は現在、計147機のワイドボディ機を運航しており、2016年に受領が始まるエアバスA350を含め、2024年までに計69機の最新鋭機を受領する。