日本政策金融公庫(日本公庫)はこのほど、同社が取り扱う「国の教育ローン」のうち、海外留学資金の2015年度上半期融資実績が804件(前年同期比104%)、20億円(同112%)となり、件数・金額ともに増加したと発表した。

文部科学省が2015年2月に発表した集計結果によると、日本人の海外留学者数は、最新データの2012年では6万人を超えやや持ち直したものの、2004年(約8万3千人)をピークに減少傾向が続いている。

一方、日本政府観光局によると、2015年の訪日外国人数は10月までの累計(1631万人)が、すでに年間で過去最高だった昨年(1341万人)を超える勢いとなっている。さらに、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しており、「日本の魅力を世界に発信する好機といえる」(日本公庫)。

政府は、「日本再興戦略」において、2020年までに日本人留学生を12万人に倍増させることを目指しているが、「国の教育ローン」のうち、海外留学向けは1件あたりの平均融資額が250万円と、その他の国内の高校・大学向け(123万円)に比べて2倍になっており、「経済的負担の重さが伺える」(日本公庫)。

海外留学資金の融資実績

日本公庫は、一昨年5月及び昨年4月に海外留学者向けに制度を拡充し、支援を強化。例えば、海外留学資金を目指す場合の世帯年収(所得)の上限は、子供の人数が1人または2人の場合990万円(770万円)。また、海外留学資金として利用する場合の融資限度額は450万円へ拡充している。

海外留学を目指す人への制度拡充内容(2013年5月より) 、融資限度額の拡充内容(2014年4月より)

日本公庫は、「政策金融機関として、引き続き『経済的負担の軽減』と『教育の機会均等』を目的に、留学を目指す人をはじめ教育資金を必要とする人を積極的に支援していく」としている。