スズキが東京モーターショーで突如として発表した参考出品モデル「アルト ワークス」が、11月23日まで開催された「第19回名古屋モーターショー」でも公開されていた。

名古屋モーターショーに出展されたスズキ「アルト ワークス」

すでに市販されているモデルを多少変更しただけともいえるこのモデルだが、人気はコンセプトカーも超えるほどだった。

ファンの熱い思いがネーミング復活のきっかけに

「アルト ワークス」は、すでに発売されている「アルト ターボ RS」の派生モデルといえる。トランスミッションを2ペダルのAGSからマニュアルトランスミッションに変更し、エンジンやサスペンションも専用セッティングとした。さらなるエクストラとして、レカロシートを装着してスポーツ性を高めている。

「アルト ワークス」インテリア

しかし、このモデルの最大のエクストラといえば、それはネーミングだろう。

スズキは1987年に初代「アルトワークス」を発売。DOHCターボエンジンやフルタイム4WDを搭載したそのパフォーマンスは、当時の軽自動車の概念を大きく超えるものだった。他メーカーからもライバルとなるモデルが発売され、軽スポーツカーという新しいジャンルができるきっかけとなったほどだ。

「アルトワークス」は2000年を最後に販売中止されたが、いまでも40代以上の人たちにとって、その名は特別な響きを持っている。その熱い思いは、当のスズキにとってさえ意外だったようで、「アルト ターボ RS」を発売したとき、「なぜ名前が『ワークス』ではないのか?」という声が多数あったことに驚いたという。そんな経緯から生まれた新世代の「アルト ワークス」は、まさにファンの声援があって実現したモデルだ。

名古屋モーターショーでは、スズキブースの片隅に置かれていた「アルト ワークス」。派手なコンセプトカーと違って目に付かないためか、若い人たちや女性からはそっぽを向かれていたかもしれない。だが対照的に、中高年の男性が送る視線は非常に熱く、運転席に座る順番を待つ長い列ができたほどだ。

しかも、ほとんどの人たちが真剣そのもので、もはやモーターショーを楽しむ顔ではなく、買うことを前提に品定めをしている顔になっていた。1日も早い発売が待たれるモデルだ。