既報の通り、ドスパラとデジカは20日、PCゲーマー向けのショッピングサイト「Gameliner」を開設した。これに合わせて都内で説明会を開催し、サイト開設の背景や概要について紹介した。
「Gameliner」は日本のPCゲーマーへの最適化をうたうショッピングサイト。Valveが運営するゲームの配信プラットフォーム「Steam」の使い方を解説するほか、Steamで提供されているゲームを、日本のユーザーに向けて選別し、日本語による解説を加え、Steamキーやゲーム本体のダウンロード販売につなげるというもの。
ドスパラでは、2015年3月から同社が取り扱うゲーミングPC「GALLERIA」シリーズに対し、「Steam」クライアントをプリインストールした状態で販売してきたが、今回の「Gameliner」の開設はこれに続く取り組みで、従来よりも1歩踏み込んだアプローチとなる。
デジカのバイスプレジデント 岩永朝陽氏によると、Steamでの日本円決済が可能となった2014年8月以降、日本における収益額が86%増加したほか、Steamでゲームを多く購入している上位10カ国の中に日本が入るなど、日本のPCゲーム市場が拡大している傾向にある。
Steamの日本円決済ではデジカの「Komoju」が採用されている。日本円での決済開始に伴い、日本でのSteam収益額が大きく伸びたという。「Gameliner」でもこれを利用し、クレジットカードに加え、コンビニ決済や銀行振り込み、Paypalでの支払いに対応する |
また、最近ではキュートの「ESCHATOS」やケイブの「虫姫さま」、グレフの「星霜鋼機ストラニア」など、日本のデベロッパーのSteam参入が相次いで発表されるなど、日本でもPC向けにゲームが提供される流れが強まるとの認識を示した。
デジカはSteamでゲームを販売するパブリッシャーとしての顔も持つ。すでに150タイトルをSteamに向けてリリースしている。2015年11月にSteamで配信を開始したケイブの弾幕STG「虫姫さま」にもパブリッシャーとして関わっている |
一方で、Steamではゲーム内容の紹介やユーザーのレビューなどが日本語で提供されていないことも多く、日本のユーザー、特にSteamを使ったことがないPCゲーム初心者やライトユーザーにとっては利用しにくいという課題があり、「最初の1歩が踏み出しにくい状況」だという。
Steamでは現在6,500タイトル以上のゲームが配信されているが、その大多数は日本語による情報の掲載がない。どんなゲームか分からないために購入に二の足を踏むとうケースがある。また、そもそもタイトル名も英語で思うように検索ができないといったことも |
そこで日本語でゲームの内容が確認できたり、ゲームの購入が行えるWebサイト「Gameliner」を立ち上げて、PCゲームの裾野を広げるとともに市場をより活性化させたいというのが、ドスパラとデジカの狙いだ。
サイトのオープン時には約50タイトルの情報を日本語で提供する。「Grand Theft Auto」や「Sid Meier's Civilization」といった大型タイトルから、比較的カジュアルなタイトルなどを取りそろえる。今後タイトルを拡充していくが、数が多いと逆に選びにくいという面もあることから、やみくもに数を増やすのではなく、スタッフが日本ユーザーにお勧めのゲームを厳選して、ラインナップに加えていくとのことだ。
また、当初はドスパラの通販サイトから「Gameliner」へ誘導するといった程度にとどまるが、「2016年の早い段階」をめどに、GALLERIAの製品ページに、そのPCで快適に遊べるゲームへのリンク、ゲームの紹介ページにプレイに適したPCの製品ページへリンクを設置するといった連携も行うという。
「GALLERIAでは、"このゲームならこのくらいのスペック"といった形で製品を提案してきたが、逆に"このくらいスペックならこのゲームが遊べる"という見せ方にも取り組んでいきたい」(ドスパラ リテール事業本部 通販事業部 部長 長田康裕氏)とのことだ。
また、将来的にはゲームをプレイしたユーザーによるレビューを「Gameliner」に掲載したり、ユーザー同士がゲームタイトルに対して自由に語れるコミュニティ機能を追加するほか、ドスパラの会員システムと連携し、例えばGALLERIAを購入したユーザーに対してゲームの割引クーポンを提供する、あるいは「Gameliner」と「ドスパラ通販サイト」でのポイント共有なども検討しているという。