いざというときにお見舞金やお葬式費用などがもらえると会社や学校などで加入していることも多い共済。そうしたものばかりでなく、生命保険や損害保険と同じようにさまざまな保障を確保するために活用できる共済もたくさんあります。今回は、共済には具体的にどんな特徴があるのかを簡単にご紹介します。
広告やチラシで見る共済って何?
共済とは、共同組合が母体となって運営している保険のこと。全労済のこくみん共済やJAが扱っているJA共済、コープ生活協同組合のコープ共済、都道府県単位で扱う都民共済、県民共済などがあります。
民間の保険会社が不特定多数を対象とした営利事業なのに対して、共済は組合員同士の相互扶助を目的とした非営利事業となっています。そのため割安に保障を得られるという特徴があります。保険金のことを共済金、保険料を掛け金と呼ぶなど用語の違いはありますが、基本的な仕組みは保険商品と一緒。死亡保障や入院保障など万一のときの保障が得られます。
共済のもうひとつの特徴としては、生保商品のみならず火災保険や自動車保険など損保商品も取り揃えているところ。つまり生命保険だけでなく家や車など身の回りの補償もすべて共済でカバーすることが可能ということです。
どんな人に向いているの?
保険と比べて共済のメリットは、前述したように組合員向けに割安な掛け金で加入できるという点です。組合員になるには出資金を払う必要がありますが多くの共済では1口100円で2口以上、10口以上など、それほど大きな負担なく組合員や准組合員になれ、共済商品に加入することができます。
全労済の「こくみん共済」をはじめ、県民・都民共済やコープ共済「たすけあい」など共済のメイン商品は、1年更新の総合保障型の保険が主流です。月々1,000円~数千円と安い掛け金で死亡保障から入院保障、損害賠償保障など幅広く保障が得られるのが特徴です。
例えば「こくみん共済」総合タイプの場合、死亡保障1,200万円(病気死亡は400万円)、交通事故での入院日額5,000円、事故での入院日額3,000円、病気入院日額1,500円などの保障が得られ、掛け金は月々1,800円。15歳~60歳まで加入でき、年齢にかかわらず掛け金は一律です。
共済では毎年の決算で余剰金が出た場合には、割戻金という形で契約者に還元されます。ですから、実質の掛け金はこれよりも安くなるケースも。
ほかの総合保障型の共済も、同じように死亡保障や入院保障などがセットになっています。事故などによる保障と病気による保障の額が異なり、病気保障は少なめなので注意が必要です。
社会人になったばかりの独身で、まだ本格的に大きな死亡保障はいらないけどいざというときに多少の保障は確保しておきたいという人、専業主婦だけど子どもが成長するまでの間は、なるべく少ない負担で保障を得たい人などに向いた商品といえます。また、今加入している保険にもう少しだけ保障をプラスしたいと考えている人などにも向いています。
共済だけでも十分な保障が得られる?
しっかりとした保障が必要な人に向けては、JA共済や全労済、コープ共済では、生保の商品と同じような死亡保障の共済や医療保障をメインとした共済商品があります。
一生涯の死亡保障が得られる終身共済や一定期間保障される定期共済など、仕組みは生保の終身保険や定期保険と同じ。入院保障がメインの医療共済もあります。これらの共済は年齢や性別によって掛け金が異なります。
死亡共済金の加入限度額も全労済の場合最高3,000万円までと大型保障が必要な方には十分とはいえませんが、JA共済では終身や定期などあわせて最高3億円まで加入可能なので、特別に高額な保障が必要なケースを除いて十分な保障が得られるといえるでしょう。
民間生保でも通販保険を中心に割安な保険も増えているので、それらとも比較検討しながら有利な保障を選ぶことが大切です。
<著者プロフィール>
ファイナンシャルプランナー 堀内玲子
証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て1993年に独立。1996年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。