これら7つのBlueprintを具体的にソリューションとして実装したものが「リファレンスアーキテクチャ(Reference Architecture)」と「エンジニアドソリューション(Engineered Solution)」の2つだ。
リファレンスアーキテクチャは、ソリューションのアーキテクチャを示した設計書で、どのような機器をどう構成すればいいかが詳細に記されている。Webサイトからダウンロードして参照することで、実装を容易に行うことが可能になる。
たとえば、仮想化/クラウドのリファレンスアーキテクチャとしては、以下が提供されている。
・「Reference Architecture: VMware vSphere 6.0 U1 on Dell PowerEdge FX2」
モジュール型サーバ「PowerEdge FX2」における、vSphere 6.0 U1を使った仮想環境構築の推奨構成
・「Hyper-V Dell PowerEdge VRTX Reference Architecture」
小規模統合型インフラ「PowerEdge VRTX」におけるHyper-Vの推奨構成
・「Dell Red Hat Cloud Solutions Reference Architecture」
「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 7」を用いたクラウド基盤の推奨構成
このリファレンスアーキテクチャで使用しているPowerEdge FX2やPowerEdge VRTXはデルが提供する統合型インフラ製品だ。それを最適に利用するための仮想化製品の構成例を推奨構成として提示することで、ユーザーの検証や運用時のトラブル対応などの負担を削減しているわけだ。リファレンスアーキテクチャでは、ユースケースごとにどのくらいのROIが期待できるかといった検証データも公開されている。
そのうえで、このリファレンスアーキテクチャに基づいて事前に機器や構成をセットアップし、顧客の環境に合わせてすぐに利用できるように提供するのがエンジニアドソリューションとなる。たとえば、仮想化/クラウド/ビッグデータ&アナリティクスに関連するエンジニアドソリューションとしては、以下のような製品が提供されている。
・「Dell Engineered Solutions for VMware EVO: RAIL」
事前検証、セットアップ済みで提供されるVMware EVO: RAILのソリューション
・「Dell XC Web-scale Converged Appliance」
Dell PowerEdgeサーバとNutanixソフトウェアを統合したソリューション
・「Dell Engineerd Solutions for SAP HANA」
SAP HANAをPowerEdgeサーバに展開しモジュール単位で拡張できるソリューション
導入当初は規模に応じたサイズ(L、M、S)を選択し、事業拡大とともにスケールアウトさせるといった展開も可能だ。エンジニアドソリューション自体は、アライアンスパートナーの新製品展開やユーザーニーズの変化にあわせて、随時拡充していく予定だという。
「Blueprintは日本市場に適している」
Ahmad氏によると、Dell Blueprint、リファレンスアーキテクチャ、エンジニアドソリューションはグローバルで同一のものが展開される。各国の企業やパートナーとの取り組みで得られた知見やノウハウをグローバルレベルでまとめ、それを標準的なモデルとして、各国で横展開できることも強みだという。
なかには、大規模企業を中心に固有のニーズが生まれることもあるが、そうした場合は、その企業に向けてカスタマイズを施せるようなソリューションの提供も行う。たとえば、自前でデータセンターを保有し、サービスを展開するサービスプロバイダーやテレコム企業、大規模なエンタープライズに対しては、Dell Datacenter Scalable Solutions (DSS)というソリューションの提供も開始することを発表した。
Ahmad氏は、Blueprintとその実装であるソリューションは、日本市場のニーズにも適していると指摘と、次のように展望を示す。
「日本は、7つのBlueprintすべてに対して高いニーズがあります。特に、成熟市場ということもあり、ハイブリッドクラウド、ビッグデータ、HPCの分野で、先進的な取り組みを行っているという印象を持っています。Blueprintのなかでも、ビッグデータとアナリティクスは新しいITへの取り組みの中心となるもの。アライアンスパートナーとの連携をさらに深め、ソリューションの拡充を進めていくことで、日本企業の取り組みを強力に支援していきたいと思います」(Ahmad氏)