フランスの名作『星の王子さま』初のアニメーション映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』(11月21日公開)で、バラ役の吹き替え声優を務めたフリーアナウンサーの滝川クリステル。2009年にフリーに転身してから、CM出演や映画のナレーション、さらに、動物保護の活動など、活躍の幅が年々広がっている。今回の本格声優初挑戦も、フリーだからこそ実現。そんな滝川に、フリー転身後の変化や現在の活動について聞いてみた。
「やりたいことができる環境になるように、卒業していろんな出会いを探そうと思った」と、転機となったフリー転身を振り返る滝川。あれから6年たった今、「ドキュメンタリーの仕事や、海外での芸術や自然、動物に関する仕事、そして、『星の王子さま』にも関わらせてもらい、本当に自分がやりたいと心の底から思うような仕事をさせてもらっている」と語り、「フリーになってから幅広くやらせてもらっているのはありがたい」と充実した表情を見せた。
2014年5月には動物保護・生物多様性保全を目的とした一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルを設立。その活動について「犬猫のペットの殺処分の問題が日本では数が多すぎて、それを2020年までに0に近づけようという活動をしている。その一つとして、飼い主を失っている子たちを自分の家族に引き取るなど、ペットショップで買う以外の選択肢がたくさんあることをお伝えしている」と説明し、「絶滅危惧種の生態系の頂点の野生動物の支援も活動の一つで、ボルネオのオランウータンと、日本の猛禽類の保護をやらせてもらっています」と加えた。
そして、どの活動も、滝川が愛する『星の王子さま』の重要なテーマ「目に見えない大切なこと」に結びついているという。「殺処分も一切見えてなかった内容で、私も10年前まではペットショップで買うのが当たり前とか、目に見えているもので判断していた」と言い、「そういう反省を踏まえて、10年前からこういった活動をやっています」と説明。野生動物の保護に関しても「生態系という目に見えないバランスで成り立っているものを人間の手で壊してしまった。それを少しでも改善できたら」と話し、「まさに"目に見えない大切なこと"なんです」と力強く語る。
滝川といえば、2013年に、2020年夏季東京五輪誘致のプレゼンテーションで「おもてなし」の心を伝え、招致に貢献したことでも知られている。今月12日には、遠藤利明五輪相と意見交換を行った滝川だが、自身がどのように東京五輪と関わるのかは「想像つかない」という。それでも、「何かしら関わりたい」と前向きで、「あの時頑張った一体感を忘れずに、あれをまた再現させたい。いろいろ問題が出てきていますが、それらを乗り越えて、私自身もお手伝いできたらいいなと思います」と話す。
最後に、今後どんな活動をしていきたいか聞くと、「今はもう十分いろいろやらせてもらっていて、特に何かしたいという欲はないんです。財団の方も忙しく充実しているので、その活動をしながらこういったお仕事をやらせてもらうという形ですね」と謙虚で、唯一挙げたのが「声のお仕事」。「でもナレーションの方が…(笑)。声優は演技がとにかく恥ずかしくて。素の自分でやるのが自分らしいかな」と補足し、「バラは大事なバラなので、本当にうれしかったんですけど」と笑った。
撮影:蔦野裕