DeNAライフサイエンスは11月18日、東京大学医科学研究所と共同で、インターネットを活用したユーザー参加型のゲノム研究プロジェクト「MYCODE Research」を2016年1月から開始予定であることを明らかにした。
同社は既に、個人の細胞を採取してDNAの情報を読み取り、検査を受けた人の病気のかかりやすさなどを知るための遺伝子検査サービス「MYCODE」の販売を開始。現在は病気と体質に関する全検査(280項目)が含まれる「ヘルスケア」(2万9,800円・税別)や、がんの検査項目(38項目)に特化した「がんパック」(1万4,800円・税別)などの3商品を展開しており、「市場が少し動いてきたのに伴い、売り上げも手ごたえを感じている」(大井潤代表取締役社長)状況になっているという。
そんな中でこのほど、病気の予防法開発などに向けた研究プロジェクト「MYCODE Research」の実施を決定。「MYCODE」の経験者にインターネット上でのアンケートに回答してもらうことで、病気や体質、生活習慣と遺伝子との関係解明を目指す。webを活用し、「双方向」「即時性」のゲノム研究を推進させる意向で、同社は2015年11月時点で「MYCODE」ユーザーの88%が同プロジェクト参加に同意済みとしている。
具体的な取り組みとして、「身長」「体重」「喫煙歴」「飲酒歴」「インフルエンザ」「ノロウイルス耐性」などの20項目以上に回答してもらい、その回答結果と回答者の遺伝情報を解析して関連する「SNP(スニップ)」を探索していく。
SNPとは、DNAの中で1カ所の塩基が別の塩基に置き換わる現象を意味する。私たちのDNAは「A」「T」「G」「C」の4つの塩基から構成されており、この塩基が遺伝情報を書くための文字と仮定すると、ヒトで約30億文字になると言われている。
ヒトのDNAはほぼ共通しており、わずか0.1%ほどの違いが個人の外見や「お酒に強い」などの体質に影響するが、この違いはSNPに由来していると考えられている。このSNPの探索によって、日本人についての関連SNPが見つかっていない病気・体質に関する予測モデル構築を目指すとのこと。
このゲノム研究によって、将来的にはSNPタイプに応じた病気の予防法開発なども期待できるため、大井代表取締役は「市民が研究に参加して、そのビッグデータが研究を駆動して、参加者にそのデータが還元されていく。そういった思いをわれわれもMYCODE Researchに込めて取り組みを進めてまいりたい」と力を込めた。