女優の小泉今日子(49)と二階堂ふみ(21)が、前田司郎監督がメガホンを取る映画『ふきげんな過去』(2016年夏公開)で、母娘役でダブル主演を務め、初共演することが19日、発表された。
本作は、『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(2013年)以来、2作目となる前田監督によるオリジナル脚本映画。物語の舞台は東京・北品川で、食堂で暮らす多感な女子高生・果子(二階堂)の前に突然、18年前に死んだはずの伯母・未来子(小泉)が戻ってきて、「あたし生きてたの」と告げる。ある事件から前科持ちとなっている未来子の登場に慌てる家族と、自分の部屋に居候されることでいら立つ果子。「自分が本当の母親だ」と言う未来子の出現で、退屈な日々が特別な時間に変わっていき、一夏を共に過ごすことになる2人の関係を描く。
小泉は、自身の演じる未来子役を「心の中にエキセントリックなところがある不思議な役」と表現。作品については、「数ミリ宙を浮いているような不思議な世界観の中、宝島を目指す夏休みの冒険のような物語で、私はファンタジー映画かもしれないと思っています」と、その感触を話す。二階堂との共演については、「今回が初めてだったのですが、演じている時のプロフェッショナルなところと、21歳の素のままの女の子が共存していてとてもうれしかった」と好印象を抱いたようだ。
一方の二階堂は、「遠い耳鳴りのような感覚になるキャラクターと、歪みと心地よさが混合する不思議な現場でした」と回顧。小泉については、「すてきという言葉が何よりも似合う方だと、現場でご一緒させていただいて感じていました。美しくてはかなくて強いお母さんと過ごした一時を、カコはこの先も追い続けていくのかな、と思いながら」と自身の役柄に重ねあわせながら、称賛している。
メガホンを取って脚本も手がけた前田監督は、「爆弾を作って爆発させることはあまり褒められたことじゃないし、それで誰かを傷つけたとしたら、それは許されざる犯罪」「でも、爆弾を作らざるを得なかった。爆発させざるを得なかった。そういう人もいる」と前置きした上で、「小泉さんなら爆発させる側の人間を演じることができる気がした」と監督としての期待を寄せた。一方、「二階堂さんは(爆発させる人と、爆発させたい人の間にある)その大きな隔たりの上に立ち、いら立ちの火花で火をつけそうな少女の目をしている」と形容。最後に「この映画が人を傷つけない爆弾であれたら」とアピールした。
映画は今年8月12日にクランクインし、同月31日にクランクアップ。11月下旬の完成を予定している。
(C)2016「ふきげんな過去」製作委員会