あれも食べたいこれも食べたい! しかしお財布にも限りがある。そんな切なさを吹っ飛ばしてくれるのがハッピーアワーだ。日本でも開店直後から混み合う時間帯までお得な料金で飲み物などを楽しめるお店は多いが、香港ではハッピーアワーがやたらと充実している。
ハッピーアワーはお昼の12時から
香港といえば食の都。出かける目的の上位に「食べ歩き」がくるのも納得のグルメシティである。香港まで来たなら当然のごとく朝から晩まで食べまくるのだが、多くの店でちょこっと時間をずらすだけでかなりお得な料金設定がされているのでオススメだ。
いわゆる「ハッピーアワー」だが、日本ではバーなどでまだお客が入るには早い時間――夕方の開店から午後7時くらいまで、というパターンが一般的ではないだろうか。だが、香港ではこのハッピーアワーがやたら長い店が多く、ハッピーすぎる状況だ。
例えば、中環(セントラル)地区のロックハート通りにはアイリッシュパブやドイツビールが飲める店などが立ち並ぶが、どの店の前にも「Happy Hour」と書かれた看板が。時間はお昼の12時。通りを歩くのは会社員とおぼしき人々ばかりで、およそ酒場に用がある人は少ない……と思いきや、ランチもいただけるし、欧米人のお客の中には1パイント(約570ml)サイズのビールをど~んと頼んでいる人もいる。
お店によってハッピーアワーの内容は異なるが、1杯頼むと2杯目が無料、というのが多いようだ。つまり、2杯飲めば1杯あたりは半額ということだが、ランチタイムにそんなに飲んじゃうの? とびっくり。しかし、よく見ていると1杯だけ飲んで2杯目は注文していない。1杯をふつうの値段で飲んだ、ということだが、さすがサラリーマン、大人である。
だがもちろん、観光客なら時間なんておかまいなし! 「12時から22時までハッピーアワー」なんていうお店もあり、ハッピーアワーが長すぎだろ、と思いつつものんべえにはパラダイスなのである。なお、以前紹介した川越地ビール「COEDOビール」のレストラン「Taproom(タップルーム)」では、ハッピーアワーで1サイズアップとなる。
食事だってハッピーに!
さらに! 香港のハッピーアワーはドリンクだけにおよばない。尖沙咀(チムサーチョイ)の火鍋店「徳興」では普段はひとり120香港ドル(約1,860円)の食べ放題が21時以降ならなんと88香港ドル(約1,360円)とかなりお得なプライスに!
12時までの閉店まで3時間はあるし、その時間帯なら混んでもいないので待つこともなくさっと入店できるのも魅力だ。メニューも牛肉、豚肉にダチョウまでいる肉類、エビ、ホタテといった高級食材もある魚介類に最後の〆めに大人気の出前一丁まで、全て入ってこの料金なのだから、もともと安いがあまりにも衝撃ゆえついうっかり食べ過ぎてしまうことは必至。深夜の"爆食い"はよろしくないと知りつつも、足しげく通ってしまいそうである。
ここに限らず、平日と休日とで食べ放題の制限時間と料金が違うという店はけっこうある。ただし、日本では閑散ゾーンであるランチ終了後からディナータイムまでの時間帯は、香港では"おやつタイム"であり、意外と多くの人がふつうに担々麺とか点心を食べていたりするので、ランチタイムをずらすのは微妙。ここはパブなどの飲み屋に行くのが得策だ。
尖沙咀エリアにあるマルコポーロホテルの夜景が美しいレストラン「Cucina」でも、21時まではハッピーアワー。ギネス世界記録に認定されている光と音楽のレーザーショー「シンフォニー・オブ・ライツ」は、残念ながら微妙にずれていてちょっとしか見えない |
曜日や時間帯をチェックしてでかければ、高級店でも割安に食事が楽しめることもある。時間に融通が利く旅行者なら、ぜひともお得に食べ歩きを楽しみたい。
※記事中の情報は2015年8月取材時のもの
※取材協力: 香港政府観光局