ファッションと同じように、メイクにも流行があります。最近の、若い女性たちのあいだで注目されているのが、「目の下にチークを入れる」メイク。
一見すると、ちょっと変じゃないのかという気もしますよね。はたして、目の下に入れることで、どんな顔の印象になるのでしょうか。
目の下にチークを入れるメイクは、昨年あたりから女性アイドルを中心に広まり、"おフェロメイク"や"イガリメイク"というかたちで周知されるようになった化粧の方法ですよね。
血色を補い、子どものようなかわいらしさに
チークを化粧で使う理由は、大きく2つあります。1つは、頬に血色を補うということ。2つめは、頬骨のラインに沿って入れることで顔を立体的に仕上げます。チークとは、もともとチークシャドウのこと。つまり、血色を補いつつ影をつくるためのものなんです。
それを、目の下に使うとどういうことになるのか。影をつくって顔を立体的にみせる効果は弱まり、血色を補うという効果が強調されるでしょう。しかも、ある程度の濃さでチークを使うとなれば、膨張色のため、目の下あたりがふっくらとしている印象をつくります。つまり、それは子どものようなかわいらしさの印象です。
よく、頬の全体にチークをいれると子どものような印象になるよといわれるのは、立体感を失わせ、子どものようなふっくらとしている印象を見せてしまうから。それと同じなんです。また、アイメイクやリップメイクとあわせて、色味が顔の中心に集まることで、そこに見る人の注意が集まります。結果的に、それは顔の周囲をぼやけさせ、小顔に見せる効果も生むでしょう。
おすすめは何色?
かわいらしい印象をつくりたいというのであれば、ハイライトを入れるような感覚で、それよりも広めに目の下に明るめ(ピンク)のチークを入れるといいと思います。ですが、年齢的に明るい色はちょっと……、ということであればオレンジ系のチークを、頬骨よりも高く、かといって目の資でもない中間くらいの場所にほんのり使ってもいいと思います。すると、肌になじみ、自然なかわいらしい印象をつくることができます。
なかなかアイドルのように、はっきりとした明るいピンクのチークを目の下に入れることは、難しいかもしれません。ですが、メイクは心理学における目の錯覚を利用したもの。どういう化粧をすれば、他人の目にはどう映るのかを知っておくだけで、化粧をすることがもっと上手になれると思いますよ。目の下のチーク、一度は挑戦してみてもいいんじゃないでしょうか。
※写真と本文は関係ありません
著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。