俳優・阿藤快さん(享年69)の訃報を受け、グルメ番組などでの共演機会も多かったタレント・彦摩呂が17日、フジテレビ系情報番組『ノンストップ!』(毎週月~金9:50~11:25)に生出演し、時折涙を拭いながら阿藤さんとの思い出を語った。

亡くなった阿藤快さん

阿藤さんとの付き合いは「24年ぐらい」という彦摩呂。「いつも元気で豪快で。僕も若い時からお世話になっていましたので、本当に頼れる先輩という感じです」と関係性を説明し、「声が大きくて強面なんですが、すごく繊細で優しい」とその温かい人柄に触れた。

亡くなったことを知ったのは15日。マネージャーから聞かされた。阿藤さんは岡山での講演を予定していたことからその代役を頼まれ、自身の仕事もあったがそのスタッフに事情を説明してスケジュールを調整してもらい、阿藤さんの事務所スタッフの「彦摩呂さんが行くと、阿藤も安心すると思います」という思いをくんで代役を優先させたという。

気丈に代役を務める一方、胸の内では「亡くなったことにものすごくショックで。ウソでしょと。信じられなかった」「泣けてきて泣けてきて。言葉もなかった」という深い悲しみ。最後の共演となったのは今年7月29日に東京・根津神社の近辺で行われた街ぶらロケで、その時は「元気で大股歩き」といういつもと変わらない阿藤さんだった。すれ違う人とあまりに親しげだったことから阿藤さんに「お知り合いなんですか?」と尋ねたところ、返ってきた言葉は「ううん、他人」だった。

死因は「大動脈瘤破裂胸腔内出血」。根津のロケではマッサージ機を体験する場面があったそうで、阿藤さんが「背中が時々痛いんだよなぁ」とぼやいていたことから、「背中が痛いと内蔵とか危ないかもしれない。気をつけてくださいよ」と声を掛けたという。彦摩呂は阿藤さんの最期を思い、「苦しまなかったのかな……」と目に涙を浮かべた。

また、阿藤さんが60歳を迎えたころに秋田の山奥でロケがあり、そこで酒を飲みながら還暦を祝ったことも。「来年の70歳でまたみんなでお祝いしようと思っていたところなんですよ……」と早すぎる別れを悔やんだ。番組では阿藤さんの役者人生を振り返るVTRも用意され、彦摩呂はその姿をじっと見つめながら目頭を押さえた。

「"役者・阿藤快"を旅番組では持ち込まなかった」と在りし日の姿を思い浮かべる彦摩呂。台本などを読んでリハーサルを行うなど事前に準備する役者の仕事とは違い、旅番組での阿藤さんはロケ場所に現地集合して時には現地解散したり、打ち合わせなどをほとんどしなかったり。そのことを彦摩呂は「旅番組ではVTRの鮮度を大事にしたのかな。旅感を楽しんでたのかな」と想像する。俳優やグルメリポーターなどで活躍する阿藤さんにかつて肩書を聞いた時、「旅人」と答えていたことに触れ、「帰ってくるから"旅"。帰って来ない"旅"に出たんだなと思って……切ないね……」と言葉を詰まらせていた。