「コーヒーと紅茶、どちらにされますか? 」「う~ん。両方混ぜてください」と言ったかは定かではないが、香港の喫茶店には両方混ぜたコーヒー紅茶「鴛鴦茶」がごく自然飲まれているという。コーヒーなの? 紅茶なの? 気になるその味を香港で確かめてみた。

コーヒー紅茶「鴛鴦茶」体験のため、香港の老舗喫茶店「金記冰室」へ

復活した老舗喫茶店

実はあの明石家さんまさんも、"コー茶"と命名してその配合を研究しながら愛飲しているそうだ。さんまさんは香港で一般的に飲まれていることは知らなかったようで、香港にメニューがあることを知って俺の味覚は間違っていなかった、などと感想を口にしていたという。

鴛鴦茶は香港の喫茶店で楽しめるごく一般的ドリンクだが、今回は香港の伝統的なカフェ「冰室」である「金記冰室」に行くことにした。同店は1967年にオープンし、2012年12月に一度閉店したが、復活を希望する人々の声に応えて2013年4月にリニューアルオープンしたという。店は香港島西側の西環(サイワン)エリアで、MTR西営盤駅から徒歩約3分でたどり着ける。

「金記冰室」の店内。ランチタイムということもあって満席だ

香港風焼きそばは裏切らない味

ちょうどランチタイムということもあって、店は大繁盛。スタッフは店の中を行ったり来たりと忙しそうだった。メニュー表を手に取ると、なんと卓球のラケットにメニュー表が貼られているよう。扉のイラストには、ヒマワリの向こうにメリーゴーランド、そして、香港ならではの遊具なのか、ポールから垂れ下がったひもみたないもので遊ぶ子供たちの姿が描かれており、なんだか楽しげだ。

イラストが描かれたメニュー表をよく見てみると卓球のラケットだったりする

気になる鴛鴦茶は15香港ドル(約230円)。合わせて香港風焼きそば「瑞士汁乾炒牛河」(47香港ドル・約730円)を注文してみた。なお、メインにスープがセットになった午後のセットメニューも香港39ドル(約600円)から用意されているので、お得にがっつり食べたい人はセットメニューを選んでみるといいだろう。

スープも付いた午後のセットメニュー「香煎梅菜肉餅飯」(41香港ドル・約640円)

まずは香港風焼きそばから。大きめな牛肉がゴロっと入った焼きそばは、平たい麺が特徴。シャキシャキのモヤシやニラ等と一緒にオイスターソースで味付けされており、日本人好みのテイストでいくらでも食べられてしまう。

香港風焼きそば「瑞士汁乾炒牛河」(47香港ドル・約730円)

飲む度に味が変わる!?

そして、気になるコーヒー紅茶を一口。英国風でミルクはたっぷり。香港と言うと「レモンティー」もものすごく甘いなど、比較的甘いドリンクが一般的のようだが、ここのコーヒー紅茶は全く甘くない。テーブルの上には砂糖ポットがあるので、これで自分好みの一杯を作るのだろう。

コーヒー紅茶「鴛鴦茶」(15香港ドル・約230円)はやっぱり不思議な味だった

ただ、コーヒーなのか紅茶なのかという疑問だが、一口目はコーヒーが強いように感じたが、もう一口飲むと今度は紅茶が強いようにも感じられるなど、なかなか判断がつかない。気になる人はぜひ、香港で体験していいただきたい。店によって配合が違うのかもしれないが、少なくとも「今までにない出合い」であることは間違いないだろう。

※1香港ドル=15.5円で換算。記事中の情報は2015年10月取材時のもの