近畿日本鉄道は12日、特急サービスのあり方を全面的に見直し、汎用特急のサービス向上のため、外観カラーリングの変更などのリニューアルを進めると発表した。汎用特急の主力車両22000系「ACE」全86両も全面的にリニューアルされ、第1編成は12月5日の有料試乗会・撮影会を経て、12月13日からの営業運転開始を予定している。

近鉄22000系「ACE」リニューアル車両の外観イメージ(近畿日本鉄道提供)

近鉄は名阪特急(「アーバンライナー」など)や伊勢特急(「しまかぜ」「伊勢志摩ライナー」など)の他に、22600系「Ace」・22000系「ACE」・30000系「ビスタEX」をはじめとする汎用特急も中距離から長距離まで幅広く運用。南大阪線・吉野線でも、16000系・16010系などによる吉野特急が活躍している。同社は現在、「次世代特急プロジェクトチーム」を設置し、今後の特急施策について検討を重ねているという。

今回、特急サービス見直しの一環で、汎用特急車両22000系「ACE」の外観・インテリアデザインを一新し、イメージアップが図られることになった。外観は長年親しまれたオレンジと紺のツートンカラーから、クリスタルホワイトをベースにブライトイエローとゴールドを加えたカラーリングに変更。先頭車側面のダイナミックなアングルラインでスピード感と乗ることへの期待感を演出し、車体側面はさまざまなシーンで活躍する汎用特急の親しみやすさ・品格の高さを表現したデザインとする。

インテリアは軽やかで落ち着きのあるデザインに。シートも座り心地を向上させたものに更新し、コンセントやカップホルダーも設置する。シートの肩グリップ上面に座席番号の点字シールを貼り、ドアチャイムや車いす対応の多目的トイレも設置するなど、バリアフリー化にも対応する。ヘッドライトや車内照明をはじめ、すべての照明にLEDを採用し、行先表示器・車内案内表示器もカラーLED化。喫煙室を設けて分煙も強化する。

22000系「ACE」リニューアル車両のインテリアと新シート(近畿日本鉄道提供)

22000系「ACE」リニューアル車両の第1編成(4両編成)は、12月5日の有料試乗会・撮影会(募集人員は大阪発・名古屋発ともに200名ずつ)で大阪上本町駅から青山町駅まで走行。青山町車庫での撮影会の後、青山町駅から近鉄名古屋駅まで走る予定となっている。営業運転は12月13日からの予定。今年度はこの第1編成も含む12両(4両×3編成)をリニューアルし、2019年度までに全86両のリニューアルを終える予定だという。

他の汎用特急車両もカラーリング変更、新名阪特急に1人用個室も

近鉄は2016年4月以降、他の汎用特急車両も22000系「ACE」リニューアル車両と同様のイメージのカラーリングに順次変更する。対象車両は標準軌(軌間1,435mm)の路線で使用される12400系・12410系・12600系(計40両)、30000系(計60両)、22600系(計32両)、狭軌(軌間1,067mm)の路線で使用される16000系・16010系(計10両)、16400系(計4両)、16600系(計4両)。カラーリング変更の期間は2019年度までとされている。

現行の22000系「ACE」(写真左)・30000系「ビスタEX」(同右)

狭軌の南大阪線・吉野線で運用される16600系(写真左)・16000系(同右)

今回の発表で、近鉄のこれからの特急施策も明らかに。2016年秋には、一般車両を改造した南大阪線・吉野線観光特急が運行開始される予定。「次世代特急プロジェクトチーム」は新名阪特急の検討も進めており、ビジネス・観光ともに快適に利用できる特別な列車として、ビジネス向け各種設備(WiFi、座席コンセント、大型テーブル)の充実を図るとともに、最高クラスとなる1人用個室の導入も今後の方向性のひとつに挙げられた。