「Asia University Rankings 2015」で3位に選ばれた香港大学は1910年に設立された香港最古の大学。2014年12月にMTR「香港大学駅」が開業されたこともあってか、観光で大学を訪れる人もいるようだ。そこで今回、香港政府観光局主催のプレスツアーに参加し、観光としての香港大学の魅力に迫ってみた。

香港大学内で最も古い建物である香港大学本部は、英国統治時代の歴史を残したコロニアル建築

歴史を今に伝えるコロニアル建築

香港大学があるのは香港島の西部である薄扶林(ポクフーラム)エリア。大学の中には校舎のほか、美術博物館や学生寮などもありとにかく広い。新設された香港大学駅は大学のちょうど真ん中あたりにあるので、降り立ったらまずは現在地と目的地点を校内に設置されたマップで確認するようにしよう。

校内マップ。端から端まで行こうとすると1日がかりになってしまうかも

大学の設立は1910年ではあるが、前身の「香港西医書院(香港医科大学)」は1887年に創立された。元々が医科大学であることもあってか、今でも看板学部は医学部とのこと。ちなみに、孫文も医学部出身だ。特に香港大学本部は歴史的な建造物「香港法定古蹟」に定められており、1910年の設立当初の姿が現在も留められている。英国風のコロニアル建築で、"レトロガラス"の特徴でもある波打つガラスの外壁からも、その歴史を感じることができる。

香港大学本部とはまた別の校舎へ。校内の中でもやや古い建物のようで、教室の構造はいたってシンプル

近代的な校舎に穴場土産のビジターセンター

そんな校舎がある一方で、香港大学駅からそのままアクセスできるメインの校舎はハイテクである。まず、校舎の中にエスカレーターが設置されている。そのエスカレーターで昇ると、日の光がたっぷり入る中庭が現れる。建物も先ほどの本部とは一転して近代的だ。吹き抜けになった上空からは水が流れるインスタレーションもあり、見るからに涼しげである。

香港大学駅のエレベーターではスタッフがサポート

中庭を広くとった近代的な校舎

校内にはエレベーターが設置されており、水のインスタレーションも

校舎の中にはレストランやカフェ、銀行、書店、売店なども設置されている。校舎をよく見てみると「RUN RUN SHAW TOWER」と記された建物が。これは、"香港のメディア王"としても知られた企業家・邵逸夫(ランラン・ショウ)が買い取ったネーミングだという。このほかにも個人や団体のネーミングが付けられた建物があり、そんな建物が公立大学の中にあるということにも驚かされる。

校舎の中にはカフェなどの施設も充実している

校内の書店には学術誌以外に小説や児童図書も

校内の建物には命名権を販売したものもある

観光で香港大学に訪れるなら、「ビジターセンター」は必ず押さえておきたい。文房具や日用雑貨、衣服、ぬいぐるみなど、香港大学のオリジナルグッズがそろっている。ただ大学名やロゴをプリントしたようなグッズではなく、デザインもしっかりしているので、ここだけのお土産としてじっくり選んでみるといいだろう。

オリジナルグッズをとりそろえた「ビジターセンター」

デザインにこだわったグッズもあり、お土産としても喜ばれそう

中国美術に囲まれての一杯

観光ポイントとしてもうひとつ、無料で楽しめる「美術博物館」もオススメだ。大学の所蔵品が収められた美術博物館は、1932年に図書館として建てられた建物を引き継いでおり、石器時代のものから唐代の陶器、そして近現代の海外など幅広い美術品を収蔵している。企画展も行われており、無料で楽しめる穴場的空間と言えるだろう。

香港大学の「美術博物館」。ここのキャラクターなのか、周辺にどこか憎めないキャラクターのオブジェもあった

さらに館内にはティーギャラリー「博寮茶座」もある。お茶は緑茶とジャスミン茶から選べてひとり15香港ドル(約230円)。そんなお手軽なお茶なのだが、日本語で書かれたお茶の淹れ方指南もあり、中国美術品に囲まれた空間も相まって、五煎目までじっくり味わえるちょっと本格的なひと時が楽しめる。

中国美術品に囲まれてちょっと本格的なお茶を

雰囲気たっぷりな中で、15香港ドル(約230円)でお茶が楽しめる(写真は緑茶)

香港大学がある薄扶林エリアは香港の中でも端にあたるが、MTRのおかげでアクセスもスムーズになっている。人と違う香港時間を楽しんでみたい人は、アジアトップレベルの学生たちが学ぶ香港大学を探訪してみるのもいいだろう。

※1香港ドル=15.5円で換算。記事中の情報は2015年10月取材時のもの
※取材協力: 香港政府観光局