すでに下火になった感もあるものの、第3・第4のモバイルOSを巡る攻防に変化が起きつつあるかもしれない。スマートフォン等に搭載されるモバイルOSの世界において、GoogleのAndroidとAppleのiOSが圧倒的なシェアを誇っていることに異論はないが、そこから大きく引き離された形で第3位にMicrosoftのWindows (Phone)が位置している。一方で第4位のポジションには、以前までスマートフォン世界の覇者だったBlackBerryではなく、SamsungのTizenが踊り出たのではないかという分析レポートが出て話題になっている。
同件はWall Street JournalがStrategy Analyticsの最新レポートを引用する形で報じている。詳細の数字はStrategy Analyticsが発行するレポートで確認可能だ。それによれば、2015年第3四半期(7~9月期)のデータにおいて、Tizen搭載端末の出荷台数が100万台に達しており、0.3%の市場シェアを確保してモバイルOS第4位のポジションを獲得した可能性が指摘されている。一方で、これまで第4位に位置していたBlackBerryは0.2%のシェアに低下し、MozillaのFirefox OSは0.0%のシェアとなっている。一方でトップ3のシェアは、Androidが84.1%、iOSが13.6%、Windowsは1.7%となっており、特に第3位のWindowsは前年同期の3.2%から大幅ダウンとなった。依然として2位と3位、3位と4位の差は大きいものの、状況しだいでは3位と4位がさらに接近する可能性もあるというのがStrategy Analyticsの最新データから読み取れる状況だ。
このデータ信憑性を比較検討するため、例えばGartnerが2015年8月に出した同年第2四半期のスマートフォン(新規)販売データと比較してみると、トップ3のシェア推移はほぼStrategy Analyticsのそれに合致する。さらにGartnerのデータ(2015年第2四半期)では、BlackBerryが115万台で0.3%のシェアとなっており、もし第3四半期にBlackBerryのシェアがさらに低下して、Tizenが100万台以上の販売台数でその数字を抜いたとすると、逆転現象が起きてもおかしくないというわけだ。
ただし、iOSについては第3~4四半期にiPhone新製品が投入されて一時的にAndroidとiOSのシェアに変動が発生すること、そして第4四半期にWindows 10 Mobileが市場投入されて新製品発売ラッシュが起こることを勘案すれば、当面はトップ3のポジションは変動せず、Tizenが第3のOSへと躍進するチャンスはまだ先の話となるかもしれない。一方で、Strategy Analyticsでレポートをまとめた同社アナリストのLinda Sui氏は、インドを初めとする新興諸国でのSamsungブランドと販売チャネルの状況を鑑みれば2016年の成長に期待が持てるとの見解も示しており、Windows 10 Mobileの展開状況しだいではTizenのさらなる躍進も考えられるだろう。