日本銀行は5日、10月6~7日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を発表した。それによると、2%の「物価安定の目標」の実現に当たり、何人かの委員が「来年の春闘におけるベースアップを含めた賃上げが重要である」と述べたことがわかった。
物価基調、1年前とは「明確に異なる」
同会合で委員は、物価目標を達成するには「賃金の上昇を伴いつつ、緩やかに物価上昇率が高まっていくことが重要である」との見方を共有。この点、多くの委員は、企業収益が過去最高水準であるにもかかわらず、賃金上昇率は緩やかなものにとどまっているとの認識を示した。
賃金上昇率が伸びない背景として、ある委員は「小売や介護など相対的に低賃金の業種での雇用増が全体の賃金上昇率を抑制している」と指摘。また、ある委員は「今後の賃金動向をみるうえで、パートから正規社員へのシフトが行われるかどうかが一つのポイントになる」と述べた。
物価面については、消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比は0%程度となっており、先行きについても、エネルギー価格下落の影響から当面0%程度で推移するとの見方で一致。物価動向の判断については、多くの委員が、8月の消費者物価(生鮮食品とエネルギーを除く)の前年比が1.1%まで上昇したことや、消費者物価の指標がはっきりと上昇していることなどを指摘、物価の基調は改善を続けているとし、追加緩和を実施した1年前とは「明確に異なっている」との考えを示した。