デスクワークの人を中心に腰痛に悩む人は多い。改善したいと思う一方で、知らず知らずのうちに腰痛を悪化させるような姿勢をしてはいないだろうか。今回はライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに、腰痛が悪化してしまう姿勢とはどのようなものかを教えてもらった。

スマホ姿勢は腰痛の元!

電車などでスマートフォンを見て移動時間をつぶしているときに、背中を丸めてうつむいて操作していることに気づくことはないだろうか。腰痛の原因にはさまざまなものがあるが、このような普段の姿勢や動作が原因になる場合も多いという。

「スマートフォンを使っているとどうしても前のめりの姿勢になりがちですが、これは背中や腰に大きな負担になります。背骨の生理的カーブを崩すような姿勢は腰痛の原因になるんです」と山岸さん。

スマートフォンの利用世代から考えると、腰痛は若い世代でも気をつけたい症状だ。実際にライオンのアンケート調査(2014年)によると、20代から70代以上までの幅広い世代で腰痛の自覚があることがわかった。特に30・40代のワーキング世代で腰痛に悩む人は多く、仕事や家事、子育てなどハードな日常が腰に負担をかけていることがうかがえる。

このほか、デスクワークや運転などで同じ姿勢を続けてしまうことが腰痛を悪化させてしまうという。「PCに向かうとつい長時間同じ姿勢を続けてしまいますが、1時間に1回くらいを目安に、伸びをしたり、ストレッチをしたりするとよいでしょう」。

さらに、運動もポイントに。「現代人は慢性的に運動不足の傾向があり、中でも肥満の方は腰痛になりやすいといわれます。適度に運動をして、筋肉をつけることも腰痛の予防になります」。

正しい姿勢が腰痛解消の近道

それでは、腰痛を予防できるような正しい姿勢とはどのようなものだろうか。まずは、正しい「立ち方」ができているかどうかをチェックしてみてほしい。

正しい立ち方は、耳・肩・股関節・膝・くるぶしを結んだ線が直線になり、背骨がゆるやかなS字を描くことがポイント(ライオン提供)

立ち姿は、横から見たときに、耳・肩・股関節・膝・くるぶしを結んだ線が直線になっていればOKだという。

「背骨を横から見たときに、ゆるやかなS字になっているのが正しい姿勢になります。横から見るのは難しいので、目安としては壁を背にして立ったときに、後頭部、背中、おしり、かかとが軽く触れているような感じで壁についているとよいでしょう」。

正しい座り方は、イスに深く腰掛け、背筋を伸ばしてお腹を引き締める。うつむくような姿勢にならないように注意(ライオン提供)

座り姿勢でも、この背骨の形を維持することが大切だ。基本姿勢として、イスには深く腰掛け、背筋を伸ばしてお腹を少し引き締め、軽くあごを引いて座る。膝がおしりよりもわずかに高くなるのが理想的とのこと。もしイスが高すぎる場合は、足元に台を置くなどして調整し、うつむくような姿勢にならないようにPCモニターなどの高さも変えるとよいという。

「普段のクセで座りながら足を組む人も多いと思いますが、背骨のカーブを崩してしまうので注意しましょう」。

また、床や畳などに座るときは、背筋を伸ばして座ることができる正座がベスト。あぐらや足を投げ出して座る姿勢は腰に負担をかけてしまうので注意だ。

ただし、膝に痛みがある人は無理をしないこと。「正座は膝に負担がかかるので、痛みがある場合は避けて、正座イスを使うなど工夫をしてみましょう」。

つらい腰痛を解消するには、普段の姿勢を正しくするのが一番。腰が痛くなるような姿勢になっていないか、日常の動作から気をつけてみてほしい。

取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さん

ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。