東京ビッグサイトで11月8日まで開催される「第44回東京モーターショー2015」。日産自動車は自動運転技術や電気自動車技術など、先進のテクノロジーを前面に打ち出したブースを出展している。10月28日に行われたプレスブリーフィングでは、同社社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏も、"技術の日産"をアピールした。
自動運転技術を来年にも新型車へ搭載予定
今回、日産ブースの主役となっているのが、自動運転車「IDS コンセプト」と、シリーズハイブリッド車「グリップス コンセプト」だ。どちらも同社の開発する先進技術を搭載。プレスカンファレンスでゴーン氏は、「日産は技術の専門家集団」と表現し、"技術の日産"の健在ぶりをアピールしていた。
世界初公開の「IDS コンセプト」には、自動運転技術「パイロットドライブ」を搭載。交通ルールを理解したAI(人工知能)が道路や交通状況などを把握して判断し、安全でスムーズな自動運転を行うという。この「パイロットドライブ」は、来年にも新型車に搭載される予定とのこと。まずは混雑した高速道路上で、単独レーンでの自動走行が可能な「パイロットドライブ 1.0」を投入。続いて高速道路における合流や車線変更が可能な「パイロットドライブ 2.0」を投入し、2020年には自動運転車の市販化をめざすそうだ。
日本初公開の「グリップス コンセプト」では、同社がリードする電気自動車技術をベースとしたシリーズハイブリッドEVシステム「Pure Drive e-Power」を搭載。「スカイライン」「フーガ」などで採用されるハイブリッドシステムとは異なり、モーターのみで車輪を駆動するしくみだ。ガソリンエンジンはモーターを動かすための電気を発電する役割を担う。このシステムには、「リーフ」と同じ大容量モーターが採用されているとのこと。
世界一売れているEV「リーフ」がマイナーチェンジ
その「世界で最も売れている電気自動車」とゴーン氏が誇る「リーフ」に関して、11月にマイナーチェンジを行うことがアナウンスされた。新開発の30kWh駆動用バッテリーを搭載し、フル充電からの航続距離は280km(JC08モード)を実現。現行車の航続距離より20%以上も延びることになる。ちなみに、展示車両を見学したが、外装において2トーンが印象的なボディカラー以外、変更点は見当たらなかった。
電気自動車としてはもう1台、軽自動車「テアトロ for デイズ」も世界初公開された。白くてシンプルなインテリアやボディのLEDスクリーンに、さまざまな映像を表示できるコンセプトカーだ。
たとえば、白いシートにその日の気分に合った映像を表示して、バーチャルなシートカバーにしたり、インストルメントパネルにゲームを映し出したり……といった使い方が提案されていた。なんだかふざけたコンセプトカーにも思えるが、電気を食いそうなこれらのアイデアの実現には、EV技術のさらなる進歩が必要になってくるはずだ。こうした遊び心からも、"技術の日産"の方向性がうかがえた。
次期「GT-R」!? レースゲーム登場車両が人気
さて、日産ブースでいちばんのにぎわいを見せていたのは、「コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」の展示スペースだった。「プレイステーション3」専用レースゲーム『グランツーリスモ 6』のために、日産が提供した同名のバーチャルスポーツカーをフルサイズ化したものだ。日本で公開されるのは、今回が初めてとなる。
東京モーターショーの会場では、「フェアレディZ」や「GT-R」など、日産が市販するスポーツカーと一緒に並べられていた。「コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」に関しては、「未来のスポーツカーのひとつの方向性を示す1台」と紹介されている。丸いテールランプや縦目のヘッドライト、V6ツインターボの4WDというゲーム中のスペックから、次期「GT-R」コンセプトなのではないかと勘ぐってしまう。
2007年に現行「GT-R」が登場してから、もうすぐ10年。次回、東京モーターショーが開催される2017年には、その名を明示したスポーツコンセプトが登場するのだろうか?