Microsoftは2015年10月29日(現地時間)、Windows 10 Insider Preview ビルド10576をリリースした。公式ブログで、Gabriel Aul氏が「多くのバグフィックスと全体的なバランスと仕上がり(fit-and-finish)を加えた」と述べていることから、以前から2015年11月公開と噂されているTH2(Threshold 2)の完成に近づいていると推察できる。まずはビルド10576の変更点を中心に、Windows 10のセカンドステージを想見したい。

メディア配信機能を備えたMicrosoft Edge

Windows 10のメインWebブラウザーであるMicrosoft Edgeは、2015年7月29日の無償アップグレード開始時のバージョン20.10240.16384.0では、必要最小限の機能しか備えていなかった。その後、Windows 10 Insider Previewと共に改良を加えてきたが、ビルド10565に付属する25.10576.0.0は、アクションの1つに<他のデバイスに音声、動画、画像を送る>を加えている。

こちらは文字どおりWeb上の動画コンテンツなどを、Xbox OneなどWindows 10に対応するデバイスに配信する機能だ。具体的にはDLNAデバイスをサポートし、MicrosoftはYouTubeの動画やFacebookのフォトアルバム、Pandora(米国のインターネットラジオ。好みに応じた自動選曲機能を備える)から受信した音楽をデバイス経由で再生するといったシナリオを想定している。ただし、DRMなどコンテンツ保護を行っているNetflixやHuluなどは未対応だという。

ビルド10565のMicrosoft Edge

ビルド10576のMicrosoft Edge。<他のデバイスに音声、動画、画像を送る>が新たに加わった

実際に試してみたが、リビングに設置したDMP(Digital Media Player)対応テレビは応答しなかったため、他のPC上でWindows Media Player 12をDMP化してYouTubeのメディアキャストを試してみた。結果は特に問題なし。そもそもWindows 7時代にメディアストリーミング機能に関しては完成しており、今回はMicrosoft Edgeに同機能を加えたに過ぎず、トラブルが発生する可能性も少ないはずだ。

<他のデバイスに音声、動画、画像を送る>をクリックすると、ネットワーク上のDMPが現れる

こちらはWindows Media Player 12をDMPとして使用した状態。YouTubeの動画コンテンツがそのまま再生された

Microsoft EdgeはDolby Audioのサポートなどメディアコンテンツに関するアプローチを強くしているが、ウィンドウ上部からのリサイズは相変わらず未サポートである。他のユニバーサルWindowsアプリはリサイズできるため、Microsoft Edgeのタブが何らかの影響を及ぼしていると思われるが、この1点に関して改善の兆しが見えないのは疑問だ。

ちなみに以前から、Webページ上のテキスト選択時のコンテキストメニューに<Cortanaに質問>が用意されていたが、ビルド10576からPDFファイルのテキスト部分にも対応している。もっとも現時点では、Web検索を実行するに過ぎないため活用場面は多くない。

PDFファイルをMicrosoft Edgeで開いた状態でも<Cortanaに質問>が使用可能になった

さまざまキーワードを試しても、Bing検索の実行に留まっている