「100万ドルの夜景」として知られている香港のど真ん中で、世界のお酒に酔いしれ世界のグルメに舌鼓。そんな特別なひとときが楽しめる「香港ワイン&ダイン・フェスティバル2015」が10月22日~25日に開催された。「お酒をあまり飲まないという香港の人々も、このイベントだけは"別腹"なのかもしれない……」と思わざるを得なかった香港最大のグルメイベントの様子をお届けしよう。
イルミネーションに囲まれた会場
フェスティバルの会場は中環(セントラル)のハーバーフロント・イベント・スペースで、会場のすぐそばには中環のスターフェリー乗り場がある。MTRを使うなら中環駅・香港駅・金鐘(アドミラルティ)の各駅から徒歩10分程度だ。会場周辺をぐるりと見渡せば、香港島のイルミネーションを間近に、そして対岸・九龍のイルミネーションも穏やかな海とともに楽しむことができる。
フェスティバルの入場料は30香港ドル(約470円)。各ブースではお酒などの販売もしていたため、特にその場で飲めなくてもいいという人は、この30香港ドルだけで会場の雰囲気を楽しむのもいい。とはいえ、せっかく世界のお酒が勢ぞろいしているのだ。少しずついろんなお酒を楽しむことこそがこのフェスティバルの醍醐味だろう。
会場内でお酒が楽しめるパスは様々なプランが用意されていた。一番お得なパスは100香港ドル(約1,550円)で、お酒チケットが5枚とプラスチック製のワイングラス1個がセットに。一方、高級な世界のワインを集めた「リーデル・グランド・テイスティング・パビリオン」入場付きのパスは、お酒チケットが5枚にリーデルワイングラス1個、さらに、専用ポーチ1個をセットにして480香港ドル(約7,440円)からとなっていた。
過去最大の350近くのブースが並ぶ
会場内には過去最高の350近くのブースが並び、メインのワインも過去最高となる23の国・地域から届けられた。ワインだけでもフランスやイタリア、ドイツ、ラテンアメリカなどの国々からそろい、中でもボルドーのワインは広いエリアを設け、人々においしく飲まれることを待ちわびるようにずらりと並べられていた。
各ブースでは、希少ワインや高級ワイン、シャンパンやスパークリングワイン、また、プロが厳選したワインなど、5つのテーマゾーンで世界のワインを網羅。もちろん、お酒はワインだけではない。今回、世界的なブームでもあるウイスキーとクラフトビールのブースが初登場となった。
一方グルメに関しては、7月に発表された「Best of the Best 香港料理大賞2015」の受賞料理を提供するグルメブースのほか、それぞれの国・地域のお酒に合わせて、そのお酒を引き立たせる世界のグルメが展開されていた。例えば、日本ブースでは日本酒や梅酒などが提供されていたが、会場には居酒屋を意識したレイアウトで宮崎牛の和牛ステーキやたこ焼き、おでんなどもあり、日本通の外国人などにはうれしいブースになっていたようだ。
様々なブースがある中で、とりわけ高級な世界のワインを集めた「リーデル・グランド・テイスティング・パビリオン」は、会場の中でもひときわ活気のある空間に。パビリオン内ではワインの提供・販売のほかリーデルのグラス販売も行っており、その場で切り分けてくれる生ハムのほか、カニやホタテなどが会場内で焼かれていたため、いろいろと目移り(鼻移り?)してしまう。
高級・希少ワインも気軽に試せる
シャンソンが流れる会場で、早速、世界のお酒&グルメ巡りを始めよう。入場の際に渡されるセットの中には、会場内で使える20香港ドル(約310円)のチケットが2枚、さらに対象ブースで使えるプレゼントチケットや割引チケットも入っており、「思う存分飲んで食べて楽しんで」というようなメッセージを受け取ったような気になった。
まずは「リーデル・グランド・テイスティング・パビリオン」へ。「実はワインのことは分からなくて……」という人でも大丈夫。各ブースのスタッフが特徴をそれぞれ説明してくれるので、いろいろ聞いてみるのもいいだろう。もちろん、インスピレーションで選ぶのもあり。運が良ければ、陽気なイタリア人がサービスしてくれるかも。各ブースのお酒は販売もしているので、飲んでみて気に入ればお買い上げも可能だ。
グルメは前菜からスイーツまで
パビリオンを出てそれぞれのブースへ。各ブースではお試しのお試しに少し盛られたお酒やグルメも用意されており、どこでチケットを使うべきかかなり悩んでしまう。日本からはチョーヤ梅酒や月桂冠も出店しており、お土産にぴったりのおちょこが付いた日本酒セットなども用意していた。
お酒のみならずグルメの充実ぶりもすごい。生ハムやチーズはもちろん、ポテトやパン、ハンバーガー、ソーセージ、ステーキ、そして飲茶やハニーポークなどの香港グルメ、さらにはマカロンやジェラート、チョコ、クッキーなどのスイーツまで、世界のグルメが様々なブースでふるまわれていた。
訪れた時間帯はプレスやバイヤー専門の時間だったのでちょうどいい混み具合だったのだが、会場の外には一般開放時間を待つ人々が列をつくっていた。茶の文化がある香港では、大のお酒好きという人は日本人に比べて少ない傾向がある。それでも年に1度のこのフェスティバルに対し、平日にも関わらず多くの人たちがお酒を中心にして特別な夜を楽しみにしているようだった。
香港ではフェスティバルを皮切りに、11月30日まで香港の食とワインを楽しむ「香港ワイン&ダイン・マンス」を開催している。期間中には街のいたるところでワインをテーマにしたイベントやツアーなどが行われるため、「なんだか楽しそう」という人はこの期間に香港を旅してみるのもいいだろう。
※1香港ドル=15.5円で換算。記事中の情報は2015年10月取材時のもの