旅先でのホテルの役割とは、身体をしっかりと休め明日の英気を養うこと。まるで自宅のようなくつろぎを演出するホテルは多いけれど、香港にある「OZOウェスリーホテル」は一味違う。とにかく快適な睡眠を、との工夫が満載なのだ。
シンプルなビジネスホテル風
香港に着いてホテルにチェックイン、荷物を置いたらすぐに街へ繰り出す。夜、ホテルに戻ったころにはもうクタクタ。明日も早起きして動きだすぞ! でも、シャワーして、髪を洗って乾かして、カメラや携帯電話のバッテリーを充電して……なんてやっているといつの間にか夜半過ぎ。明日のためにも早く寝なくちゃ! と気が焦る。
そんなふうに、旅行中は夜も意外と忙しいもの。普段よりも多く動き回って疲れているのに睡眠時間が短いこともあるだろう。そんな時に必要なのは、質のいい睡眠。短い時間でも深くぐっすり眠ることで疲れを回復し翌日も朝から元気に動くことができるのだ。
というわけで、ゲストにじっくり休んでもらおうと努力しているのが中環(セントラル)地区にあるOZOウェスリーホテルだ。MTRの湾仔(ワンチャイ)駅または金鐘(アドミラルティ)駅から車で5分程度のところとなる。何の変哲もない商業ビルのような外観だが、中に入ってみると広々としたロビーがあり、一目でホテルと分かる。すっきりとシンプルなインテリアは都会らしく洗練されている。ロビーには自由に使えるデスクトップが設置されており、メールチェックなども可能。なかなか機能的だ。
室内もまた、いたってシンプル。窓際にカウチが設置されているところがアーバンリゾートといった雰囲気を醸し出している。高いところが苦手な人は近寄れもしないだろうけれど、都会の景色が一面に広がる様子はクールである。ライティングデスクもあり、機能は十分。だがまぁここまでは単なるきれいなビジネスホテルである。
これでもか! と眠れる仕組みが
一度外出して夜になって戻ってみた。ロビーの片隅に2種類の"ナイトキャップ"があるが、どうやらユズやハーブのお茶のよう。疲れて帰ってきた身体をほっとリラックスさせる効果があり、22時まで無償でサーブされる。ナイトキャップと聞いてブランデーなどを期待したが、実際はお酒を飲むと眠りが浅くなるとも聞くし、快眠を考えるとこれがいいのだろう。
室内へ戻ると、ターンダウン(ベッドを寝られる状態にしておくこと)がされており、サービススタッフが入室したことが分かる。ふとライティングデスクを見るとそこにはクッキーが。寝る前に小腹が空いていてはよく眠れないが、消化にいいものでないといけないという配慮だ。このスイーツは毎日内容が変わる。
開けっ放しにしておいたカーテンはきっちりと閉められており、外の光を通さない。かなり分厚い遮光カーテンが取り付けられているのだ。「音もシャットアウト」と説明にはあるが、残念ながら外の喧騒はどうしても聞こえてしまう。だが問題なし! テレビのリモコンにとりつけられた「Sleep」ボタンを押せばメロウな音楽が流れだし、耳障りな音をかき消してくれる。
そしてその音楽とともに画面に現れるのが……羊である。月明かりの草原をピヨヨ~ンと跳ねながら次から次へと飛び出してくるアニメーション。これをじっと見つめつつ「羊が1匹、羊が2匹……」と数えていれば、いつの間にか眠りに落ちてしまうという算段だ。
それでも眠れない人は「ドリームメーカー・キット」(240香港ドル=約3,720円)を購入しよう。羊の絵がかわいらしいアイマスク、リラックス効果を高める香りのミスト、2種類のお茶がセットになっており、より深い眠りへと誘ってくれるはずだ。ただし、このセットは人気があるそうで事前に予約しておかないと買えないこともあるとのことなので、予約時にでもおさえておいた方がいいだろう。
朝食にも大満足
朝までぐっすり、確かによく眠れたような気がする。昨晩あんなに食べまくったのに、お腹が空いているのが身体がよく休めた証拠だ。そんな風にお腹を空かせたゲストのためか、朝食にもこだわりが感じられる。
よくあるビュッフェスタイル、だがエネルギーチャージ用のドリンクが2種類あり、ひとつはコレステロール値を下げる効果があるという。どうやら健康志向であるらしい。ペストリーはマシンに入れられいつでもホカホカ温かく、料理の種類こそ多くはないが卵料理やフルーツ、ヨーグルトなど基本的に朝ほしいものはそろっている。
朝から健啖(けんたん)な筆者の心と胃袋を満たしてくれ、今日も1日がんばって遊ぶぞ! と気持ちよく1日をスタートさせることができたのであった。
●information
OZO Wesley Hong Kong
22 Hennessy Road, Wanchai Hong Kong
※記事中の情報は2015年8月取材時のもの