開催中の第28回東京国際映画祭で24日、インターネット映像配信ネットワーク・Netflix初のオリジナル映画『ビースト・オブ・ノー・ネーション』の舞台挨拶が東京・TOHOシネマズ 新宿にて行われ、キャリー・ジョージ・フクナガ監督が登壇した。
同映画祭のパノラマ部門に選出された本作は、アフリカで平和に暮らす少年が、内戦で家族を奪われ、ゲリラ兵に変貌していくさまを少年目線で描き、ベネチア国際映画祭で絶賛された作品。ナイジェリア在住の作家ウゾディンマ・イワエラによるデビュー作『Beasts of No Nation』を、エミー賞受賞経験を持つ38歳の日系監督キャリー・ジョージ・フクナガが、企画から7年もの歳月をかけ映画化した。主演は、ゴールデングローブ賞受賞のイドリス・エルバが務める。
舞台挨拶に登場したフクナガ監督は「こういう話を新聞やニュースなどで聞くと遠いところで起きていることだと思うけど、映画だと身近なものとして感じられる」と言い、「子供兵という題材でつらい部分もあるが、彼の気持ちに共感して何か感じとってもらえたらうれしい」と呼びかけた。そして、「シリアスな題材だけど、笑える所もあるので、笑うのも大丈夫」と加えた。
そして、「Netflixを通して公開されるのはうれしい。特に、世界同時で公開されることがすばらしい」と喜び、ほとんどの映画作品は、世界のほかの国よりも日本は1年遅れて公開されることが多いが、今回は時差の関係で日本は数時間ほかの地域より早く見られたと思う」とコメント。「大勢の視聴者にこの作品を届けられる」と喜んだ。
また、「撮影はガーナで行った」と明かし、「撮影スタッフは、アメリカ人、南アフリカ人、地元のスタッフ…異文化交流ということで大変なこともあったが、それをみんなで乗り越え、一生忘れることのできない体験になった」としみじみ。「僕は現地でマラリアにかかり、毒蛇を踏みそうにもなり、命がけで撮影した。イドリス・エルバは崖から落ちそうにもなった」と過酷な撮影の様子も明かした。