米Western Digitalは10月21日(米国時間)、米SanDiskを買収することで両社が合意したと発表した。取引はSanDisk株主および米規制当局の承認を得る必要があり、順調に進めば2016年第3四半期には完了する。
合意額はSanDisk1株あたり86.50ドル。Western Digitalはこれを現金85.10ドルと同社の普通株0.0176株の組み合わせで支払う。買収総額は190億ドルになる。ただし、これは9月30日に発表した中国の精華紫光との出資合意の影響を受ける。精華紫光は37億7500万ドルを出資してWestern Digital株の15%を取得するが、この取引が完了しなかった場合、出資金をSanDisk買収に充てられなくなるため、現金67.50ドルとWestern Digital普通株0.2387株という組み合わせで支払う。
Western DigitalはHDD大手であり、コンシューマ向けにWDブランドのMy Book、My Cloud、My Passportといった製品が浸透している一方で、2011年に買収したHGST (日立GST)がOEM向け製品市場で高いシェアを獲得している。SanDiskはコンシューマ向けからビジネス向け、OEM向けまで幅広くフラッシュメモリ製品を提供しており、またフラッシュメモリに関する数々の技術を保有する。
SanDiskが21日に発表した7~9月期決算は売上高が前年同期比17%減、純利益が前年同期の2億6300万ドルから1億3300万ドルに減少した。またWestern Digitalの4~6月期決算は売上高が前年同期比13%減、純利益が同31%減だった。どちらも予想を上回ったものの、Western DigitalはHDDからフラッシュストレージへのシフトの影響を受け、SanDiskは厳しさが増すフラッシュメモリ市場の競争圧力に直面している。ただし、市場を問わずストレージソリューションの需要は強く、Western DigitalとSanDiskの組み合わせは、そうした要求に幅広く応えられる補完的な合併になる。また、両社を合わせるとデジタルストレージ関連で申請中および取得済みの特許が15,000件を超えるのも、競争の激しい市場において強力な武器になる。SanDiskは東芝との15年に及ぶパートナーシップでNAND型フラッシュメモリを製造してきたが、3D NANDなど将来に向けた取り組みを含めて東芝との共同事業は継続していくという。