スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「キャップレス防水」についてです。

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コネクターのように金属部分が露出している部品を防水対応させるときは、シリコンのような柔軟性で周囲にフィットし、水の侵入を妨げる部材を保護カバー(キャップ)として使うことが一般的です。しかし、端子を取り付けるときにはキャップを外さなければならないうえ、外したキャップの保管場所という悩ましい問題が発生します。長期間使用するうちにキャップの形状が変化し、そこから水もれが発生することもあります。

「キャップレス防水」は、文字どおりキャップなしでの防水を実現します。コネクター部分に防水処理が施されているため、キャップを取り付けないまま水に濡れても故障しません。キャップのように頻繁に着脱することで次第に変形し、やがては防水性能が損なわれてしまうトラブルもありません。キャップの紛失も生じないため、防水性能を長期間維持できます。ただし、端子部分が水に濡れたまま装着(通電)すると故障の原因になるため、水滴を拭き取るなどしてからの装着が前提です。

この機構を採用したスマートフォンは、「Optimus G」や「AQUOS PHONE ZETA」、「DIGNO R」など多数存在します。2015年春発表の「Xperia Z4」にも、マイクロUSB端子とヘッドホン端子部分にキャップレス防水が採用されています。

ただし、キャップレス防水そのものは防水等級と無関係です。Xperia Z4を例にすると、防水等級は短時間の噴流に耐えられる程度の「IPX5」であり、常温で30分ほど水没させても支障ない「IPX7」には及びません。キャップレス防水に対応したコネクタは、水密性を発揮できるよう高精度に取り付けられているため、完全に元どおりとしないかぎりその部分から浸水してしまう可能性があり、自己流の分解は控えたほうが無難といえるでしょう。

Xperia Z4のマイクロUSB端子部。端子カバーの必要がない「キャップレス防水」仕様です