朝夕涼しくなり、いよいよ秋の到来だ。行楽やレジャーも増える時期だが、「なんとなく肌の調子がすぐれない」と悩んでいる人はいないだろうか。その原因の一つとして、秋の肌がまだ夏の疲れをため込んでいることが考えられる。
今回は、南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長である服部英子医師に、肌に残った夏の疲れを解消して健康的な肌へリセットする方法について伺った。
秋の肌の不調は「夏の疲れ残り」が原因?
今の時期の肌は、夏の間に紫外線を受け続けたダメージによって、肌表面のターンオーバーが不調となっている。そのため、肌が本来持っている紫外線や酸化から守るバリアー機能や、肌の内部にうるおいを保持する保湿機能が低下している。また、エアコンが効いた室内で過ごしたことで体が冷え、血液循環にも不調を及ぼし肌全体の活力も低下しやすくなっているのだ。
それに加え、涼しさを感じ始める秋は、湿度の低下とともに肌の水分蒸散量が一気に増加する。これらの原因によって、「うるおい不足からくる肌のかさつき」「透明感のなさ」など、目に見える肌の不調を感じやすくなる時期が秋といえる。
以下にこのいわゆる「夏バテ肌」の特徴をまとめたので、症状に心当たりがある人は対策を考える必要があるだろう。
■朝起きると肌がくすんでいる
■肌のごわつきが気になる
■洗顔後すぐに肌がつっぱる
■夏前より毛穴が気になる
■夏の間はべたつくので乳液やクリームを省いていた
■化粧くずれが気になる
■シミが目立つようになった
■シワが深くなった気がする
秋口に大事な保湿対策のお勧めはマスク
夏は汗や皮脂の分泌が活発なため、一見すると「肌が潤っている」と思いがち。そのため、乳液やクリームを使わなかったり、使用量を減らしたりしてしまう人が多い時期でもある。
そこで「夏バテ肌対策」として、まずは基本の化粧水や乳液、クリームなどの基本的なスキンケアをしっかり行い、保湿対策を強化するようにしよう。
特にお勧めなのが「マスク」によるスペシャルケアだ。肌に活力を与える効果が期待できるマスクは、肌に直接貼り包んで覆うことで、うるおいを肌内部にたっぷり保持できる。ほかにも、「美容成分の皮膚への浸透を高める」「肌表面ではキメを整え、見た目にも美しい肌に導く」といった効果が期待できるなど、さまざまな優れた美容効果を発揮する。
肌のターンオーバーを整えるケアを
夏の行動が影響して血流が悪くなり、肌のターンオーバーの乱れにつながるケースは他にも複数ある。その行動とは、「室内外との気温差を何度も経験」「冷たいものの摂り過ぎ」「夏バテによる食生活の乱れ」「睡眠不足」などだ。 そのような行動をしてしまった際にお勧めなのが、マッサージ。いつものスキンケアにマッサージを組み入れるだけで、肌の血行を促進させることができる。肌のくすみや透明感のなさに悩む人は、特に重点的に行うとよい。あわせて睡眠を十分取るよう心がけ、「肌の基礎体力」を高めることも忘れないように。
また、ビタミンA、β-カロチン、ビタミンCを意識した旬の食材を摂取するなど、食生活を整えるといったインナーケアも重要。知らず知らずのうちに蓄積された夏の肌ダメージをしっかりケアをして、寒くなる季節に備えよう。
記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)
東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。