説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「ヘルスケア」のデータが表示されません!?』という質問に答えます。

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iOSに標準装備のアプリ「ヘルスケア」は、Bluetoothで接続されたアクセサリ、またはiPhoneに内蔵のチップを利用してフィットネスデータを収集します。iPhoneに内蔵のチップとは、センサー類を統括するためのモーション・コプロセッサであり、最新モデルのiPhone 6s/6s Plusには「M9」が搭載されています。

モーション・コプロセッサは演算などある種の処理を行う点ではメインのSoC/CPUと同じですが、消費電力がとても少ないことが特徴です。独立して設計されており、SoC/CPUとは物理的に分かれて存在しますが、iPhone 6s/6s Plusの「Apple A9」からはA9内部に実装されています。チップの形状としては、A9と一体化しているのです。

しかし、モーション・コプロセッサはあくまでメインCPUを補佐する副CPUであり、その機能はSoC/CPUから独立しています。iPhone/iOSの主機能を駆動するCPU(iPhone 6s/6s Plusでいえば「A9」)が正常に動作していたとしても、M9へのアクセスが失敗する可能性はあります。

実際、「ヘルスケア」がなんらかの理由でモーション・コプロセッサにアクセスできなくなり、結果として歩数や上った回数が表示されなくなることがあります。不具合の原因がアプリにあるのかシステムにあるのか定かではありませんが、モーション・コプロセッサが保持するデータを取得できなくなると、歩数などのデータは表示されなくなります。

もし「ヘルスケア」のデータが正常に表示されなくなった場合、まずは「システムの再起動」を行います。そうすれば(モーション・コプロセッサにアクセスするための)プロセスが初期化されるため、ハードウェアが原因でなければ再びデータを取得できるようになるはずです。フィットネスデータが消えていなければ、再起動後には歩数などのデータが再び表示されるようになることでしょう。

なんらかの原因でモーション・コプロセッサにアクセスできなくなった場合、「ヘルスケア」に歩数などのデータが表示されなくなります