説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iOS 9の「コンパス」で待たされなくなりました!?』という質問に答えます。

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コンパスで待たされないとは、iOSに付属の「コンパス」アプリでときどき発生していた電子コンパス補正処理(キャリブレーション)のことでしょうか? 確かに、iOS 9からはiPhoneをぐるぐる回転させるキャリブレーションを要求されなくなりました。 コンパスのキャリブレーションは、なんらかの原因で動作に支障が生じた磁力センサーを初期化する目的で行われます。磁力センサーは微弱な地磁気を検出しますが、周囲の磁気にも影響を受けるため、スピーカーやディスプレイなど強い磁力を持つデバイスの近くに置くと検出精度が低下します。

一方、iOS 9の「コンパス」はキャリブレーションを必要としません。必要に応じて自動的に内部調整を行うため、手動キャリブレーションは行われなくなりました。アプリの起動時にも行われないため、Appスイッチャー(ホームボタンをダブルクリックすると現れるアプリ切り替え機能)で「コンパス」を終了させ強制的にキャリブレーションを実行することもできません。

ところで、最新のiPhone 6s/6s Plusにはモーション・コプロセッサ「M9」が搭載されています。フィットネス・データの収集・記録を容易にするため、M9は加速度センサーやジャイロスコープ、気圧計などのセンサーと直接通信できる統合型のチップに進化し、電子コンパスにもアクセスできます。キャリブレーションが不要になったことは、このM9と関係がありそうですが、「M8」を搭載するiPhone 6でもキャリブレーションが不要になったことからすると、モーション・コプロセッサとの因果関係はないものと考えられます。

電子方位磁針アプリ「コンパス」は、iOS 9からキャリブレーションが不要になりました