「消費、貧困、福祉に関する分析」で2015年ノーベル経済学賞が授与されることが決まったアンガス・ディートン教授(プリンストン大学)。ディートン教授の著書『大脱出 健康、お金、格差の起原』はみすず書房から刊行されており(松本裕氏訳)、みすず書房によると重版中、10月下旬出来予定となっている。
同書の原題は『THE GREAT ESCAPE Health, Wealth, and the Origins of Inequality』。みすず書房からは2014年10月22日に発行され、定価は4,104円(本体3,800円)。
世界はより豊かになり、より健康になり、平均寿命は延びている反面、貧困という収容所から「大脱出」を果たせずに取り残された国や人々がおり、産業革命以来の経済成長は、大きな格差も生んだ。同書では、経済発展と貧しさの関係について最先端で研究を続けてきたディートン教授が、250年前から現在までを歴史的にたどりながら、成長と健康の関係を丹念に分析することで、格差の背後にあるメカニズムを解き明かしている。
「本書は、進歩と格差の間の終わりなきダンスについて記している。……単純に考えると、貧困からの脱出は金銭的な問題だと思いがちだ。だがお金と同じくらい、ひょっとするともっと重要なのかもしれないのが健康と、繁栄する機会を手に入れられるだけ長生きする確率の向上だ。……富の歴史について語る本は数多くあるし、格差の歴史について語る本も多い。健康と富がいかに密接な関係にあり、健康の格差が富の格差をいかに鏡のように反映しているかについて語る本もたくさん出ている。私はその両方について一冊で語りたいと思う」(はじめに)。
「取り残された人々を助ける手立ても示した、健康と豊かさの経済学」(みすず書房)となっている。
著者のアンガス・ディートン(Angus Deaton)氏は、プリンストン大学経済学部教授。専門分野は健康と豊かさ、経済成長の研究。イギリス生まれ。米英の市民権を持つ。ケンブリッジ大学とブリストル大学で教鞭を執ったのち、プリンストン大学に移籍。2009年にはアメリカ経済学会の会長を務める。現在の研究テーマは、インドをはじめとする全世界の貧困の計測。著書Economics and Consumer Behavior(共著、1980, Cambridge University Press); The Analysis of Household Surveys(1997, World Bank)他。
(※略歴は同書刊行時のもの)
訳者の松本裕(まつもと・ゆう)氏は、翻訳者で、訳書はマハジャン『アフリカ 動きだす9億人市場』(2009、英治出版)ウッドマン『フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』(2013、英治出版)他。
(※略歴は同書刊行時のもの)