多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「どうしてキャリア通話と無料通話の音質に差がでるの?」という質問に答えます。

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Android端末にかぎらず多くのスマートフォンは、携帯電話会社が提供する音声通話サービス(キャリア通話)にくわえ、アプリを使いインターネット回線経由で通話する機能(IP電話)に対応しています。LINEやFacebookなどのアプリに付属する無料通話サービスは後者の一形態で、キャリア通話とは明確に分けることができます。

実際に利用するとわかりますが、それらの音声通話サービスはそれぞれ音質が異なります。同じ端末で試しても音質が違うということは、ハードウェア(スマートフォンに内蔵のマイクとスピーカー)が原因ではなく、スマートフォンアプリもしくは音声データがやり取りされる経路などソフトウェア面に違いがあることを意味します。

なかでももっとも音質を左右する要素は「コーデック」です。ここでいうコーデックとは、送信側ではマイクで入力した音声をデータ圧縮(符合化)を行い、受信側では受け取ったデータを復号化するソフトウェアのことで、どの音声通話サービスでもアプリまたはIC上で動作する形で用意されています。音声データは本来膨大な情報量があり、圧縮しないことには効率よく転送できないからです。

このコーデックには各社の技術なりノウハウなりが反映されており、性能差があります。利用できる情報量(サンプリング周波数の幅)はどの程度か、どの周波数帯の音を残す/削るべきか、どの程度の遅延が発生するかなど、コーデックにより多少の差があります。キャリア通話と無料通話の音質差の原因のひとつが、コーデックの違いにあることは確かです。

もうひとつは、使用する回線の余裕度です。IP電話アプリが使用するコーデックのなかには、通話している時点のネットワーク帯域(回線の帯域幅)の余裕度を見てサンプリング周波数を変化させるものがあり、いわゆる電波の状態がいい場所では音質が向上する傾向にあります。

キャリア通話の新サービス「VoLTE」の音がいい理由も、基本的には同じことです。NTTドコモを例にすると、従来の3G通話に利用されていたコーデック(AMR)を拡張した「AMR-WB」を採用し、かつ帯域に余裕がある4G回線を利用することで、格段に向上したといわれる音質を実現しています。

キャリア通話と無料通話の音質差は、コーデックと利用する回線の違いに理由があります