Typekitでモリサワ書体が利用可能に
ここでAdobeでProductsとCommunityのVice Presidentを務めるScott Belsky氏が登壇し、Creative CloudにおけるAdobeと他社とのパートナーシップについて2つの発表を行った。
ひとつはCreative SDKの拡張である。Creative SDKは昨年のAdobe MAXで発表された新機能で、サードパーティのサービスがCreative Cloudのツールの機能をクラウド経由で利用できるというもの。
もうひとつは、日本語のタイポグラフィの分野では業界標準であるモリサワ書体が、Typekitで利用可能になったというもの。モリサワグループとの提携によって、Adobeとモリサワグループが選んだ20書体がTypekitで提供されるフォントに追加されており、これをデスクトップやWebサイトなどで利用することができるという。
Typekitに日本語フォントが追加されたのは今年になってからであり、Adobe製以外の日本語フォントが追加されたのは今回が初めてとなる。日本のデザイナーやユーザーにとっては非常にうれしいニュースと言えるだろう。
デザイン分野におけるイノベーション
続いて、デザイン分野におけるイノベーションとして、Illustrator、InDesign、そしてAdobe Fuse CCの新機能についての紹介が行われた。
まずIllustratorについては、従来よりも「10倍高速で10倍正確」とのこと。10倍高速というのは、極めて動きがスムーズで、拡大などの操作の際にもタイムラグがないことを指す。そして10倍正確とは、最大6万4000%までの拡大に対応したことを指している。
変わったのはパフォーマンスだけではない。タッチディスプレイに最適化されたタッチUIが強化され、より直感的な操作でイラストを描くことができるようになっている。パスファインダーやシェイパーツールの強化は特に注目とのことだ。
InDesignでは「Publish Online」という新機能が紹介された。これは印刷デザインをデジタル化して公開できる機能で、デジタルコンテンツとして見せるためにアニメーションなどのインタラクティブな要素を追加することも可能だという。
続いて、新ツール「Adobe Fuse CC」の紹介が行われた。Fuseは3Dモデルを作るためのアプリであり、アバターを作成するのと同様の感覚で手軽にモデリングを行うことが可能だという。さらに、作成した3DモデルをCreative Library経由でPhotoshopに取り込むことが可能で、取り込んだモデルに対してはさまざまな姿勢やアニメーションの動きを適用することができる。内部的には、「走る動き」や「ギターを演奏する動き」などのアニメーション設定がプリセットされており、それを取り込んだ3Dモデルに適用することでモデルを変形したかのように見えるとのことだった。
各種デスクトップアプリにタッチUIを搭載
Illustratorのデモで触れたタッチUIだが、これまではPhotoshopおよびIllustratorにしか搭載されていなかった。しかし今後のアップデートで、これをその他のデスクトップアプリにも拡張していく予定だということが発表された。具体的には、IllustratorとPhotoshopに加えて、InDesign、Lightroom、Premiere Pro、After Effects、Audition、Charactor Animatorでタッチ操作に最適化されたUIが搭載されるという。
ちなみにこのタッチUIの開発については、Microsoftとの強力なパートナーシップによって実現したとのこと。そのためか、展示会場のデモ機はすべてSurface Pro 3だった。