ワコムは、東京都・表参道の「文房具カフェ」にて、10月18日発売のデジアナ文具「Bamboo Spark」の発売前体験会および関連セミナーを開催した。本レポートでは、その模様をお届けする。

会場の様子

講師を務めた村上崇氏

「Bamboo Spark」は、ペンタブレットや液晶ペンタブレットの精度で定評のあるワコムが開発した、デジタルとアナログのいいとこ取りを目指した新製品。ボールペンで書いた文字や絵などを、たった1ステップでデジタルデータに変換し、クラウドストレージ上に保存することができる。使い方やその仕組みは、マイナビニュースで実施した発売前実機レビュー(仕組み編実践編機能解説編)を参照してほしい。

発売前から文具フリークやビジネスマン、クリエイターなど、さまざまな方面から注目が集まっている同機種を一足先に触れるとあって、開催当日は雨だったにもかかわらず、イベントには多くの参加者が詰めかけた。

デジアナ文具で頭の中を整理

体験会の合間には、デジアナ文具の活用を解説するセミナー「デジアナ仕事術~頭の中を整理してアイデアを生み出そう~」が実施された。講師は、元お笑い芸人で現在は戦略PR会社「カーツメディアワークス」の代表取締役を務める村上崇氏。軽妙な語り口で、参加者の手元にある「Bamboo Spark」を活用して、頭の中を整理するためのヒントを解説した。

セミナーは、まず村上氏のユニークな経歴を披露する"ツカミ"からはじまり、同社の業務の実例を挙げながら、「アイデア」を発案するためのTipsが披露された。その中で村上氏は、頭の中をしめるさまざまな「アイデア」は、ノートに書き出すことで整理できるとコメント。加えて、書くという行為自体が脳内物質を分泌し、やる気につながるという。そしてアイデア、ひいては「企画」は、発案する行為よりも、本当に大切な部分を吟味する「捨てる」行為の方が大切なのだと強調した。

また、自身が書いたPowerPointで資料を作る前段階のラフを公開しながら、「Bamboo Spark」を使えば、さっと書いたラフの上に簡易な着色をするなど、ラフ段階でデザイン面の整理まで行える利便性を挙げた。「Bamboo Spark」でデジタル化したデータをノートアプリや描画アプリと連携させ、「Bamboo Fineline2」などのスタイラスを使うことで、ラフ段階のブラッシュアップがかなり円滑に進められそうだという印象を受けた。

ノートに書くこと、つまり「アナログ」の利便性を語ってきた村上氏だが、こうした手書きの記録が"書きっぱなし"になりがちで、その後の利用がしにくいという"弱点"も指摘。そうした部分も、ボタンを押すとすぐにデジタル化とクラウドへのアップロードが完了する「Bamboo Spark」を使うことで、手書きのアイデアや記録を、チームで共有できるため、会社のみならず、グループで進行するさまざまな事柄に応用可能だと語っていた。

デジアナ文具の感触は?

文房具カフェの一角に作られた体験スペースは、前述の通り雨模様だったにもかかわらずほぼ満席。ビジネススーツに身を包んだ会社帰りとおぼしき人から親子連れまで、さまざまな人たちが、「Bamboo Spark」の試用に夢中になっていた。

試し書きのノートを撮らせてもらった。このノートは絵と文字の部分が分けてデータ化されていたが、後から統合することも可能だ

お絵描きに夢中になる女の子。データでもその筆致は再現されていた。子供時代のお絵かきを記録に残すのにも使えるかもしれない

仕事柄、これまでも他のデジアナ文具を使った経験があるという女性は、「Bamboo Spark」はこれまで触れてきた製品より「自然に使える」とコメント。「本体のボタンを押すだけ」というデジタル化のステップが非常に手軽なことを評価していた。また、親子連れで訪れた女性は、「文房具カフェのメルマガで気になって」という来店動機ながら、娘さんも夢中でお絵かきに興じていた。メモだけでなく、イラストを描いて着色する参加者も見られるなど、"アナログ"のノートとペンが受け止めてきたさまざまな用途をそのまま反映する試用風景となった。

そして、会場ではワコムのスタッフによる基本的な使い方の解説が受けられるとあって、ひとりひとりの体験時間が長め。解説に対してさらに質問を投げかけるなど、同機に対する濃いやりとりが見受けられた。解説の合間にワコムのスタッフに声をかけてみたところ、「クリエイティブ製品(ペンタブレットなど)の体験ではさらに腰をすえて試される方もいるのですが、新カテゴリの製品でもこれだけ関心を持っていただけてうれしいです」と笑顔で語っていた。