環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加12カ国は5日、31分野での大筋合意に達した。コメの新たな輸入枠が設けられる一方、牛肉は例外として関税撤廃を回避した。

TPP大筋合意

コメ・小麦などに国別輸入枠を設定

農林水産省が公表した農林水産物に関する合意内容の概要は下記の通り。

コメは既存の輸入枠77万トンに加え、アメリカに7万トン、オーストラリアに0.84万トンの国別輸入枠を新たに設ける。

小麦に関しては既存の574万トンに加え、アメリカ・カナダ・オーストラリアに計25.3万トンの国別枠を新設する。

牛肉は例外として関税撤廃を回避し、セーフガード付きで関税を削減していき、最終税率を9%とする。

乳製品に関しては、脱脂粉乳・バターの関税削減・撤廃は行わず、TPP枠として7万トンを設定。昨今のバター不足解消を目指す。チーズは日本人の好みに合うモッツァレラチーズ・カマンベールチーズ等の関税を維持する。一方、チェダーチーズ・ゴーダチーズなどの熟成チーズやクリームチーズ等は16年目までの経過期間を確保した上で、関税撤廃とする。

林農林水産大臣による談話

同省は6日、TPPの大筋合意に伴い林大臣による談話を公表した。

「TPP交渉にあっても、重要5品目を中心に、関税撤廃の例外に加えて、国家貿易制度・関税割当の維持、セーフガードの確保、関税削減期間の長期間化等の有効な措置を獲得することができた。一方で、一部の品目については、生産者の皆様の間には経営に影響が及ぶのではないかとの懸念もある」

「農林水産分野については、TPPの影響に対する農林漁業者を始め国民の皆様の懸念と不安を払拭するとともに、農林水産物の重要品目について、将来にわたって意欲ある農林漁業者の皆様が希望を持って経営に取り組めるようにすることにより確実に再生産が可能となるよう、交渉で獲得した有効な措置と合わせて、政府全体で責任を持って万全の国内対策を講じていく覚悟である。農林水産省においても、私を本部長とする『農林水産省TPP対策本部』を設置し、合意の実施に伴い生ずる諸課題に係る対策を検討していく」

「農林水産業は国の基であり、国民に食料を安定的に供給し、地域の経済を支える重要な産業であるとともに、ふるさとと国土を守るなどの多面的な機能を有している。TPPによる新たな国際環境の下でも、強くて豊かな農林水産業、美しく活力ある農山漁村を創り上げていけるよう、政府一体となって万全の国内対策を講じていく」(林農林水産大臣)

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