神奈川大学は、高校生・既卒生・大学生500名および高校生・既卒生・大学生の子を持つ親500名を対象に、「奨学金と給費生制度に関する意識調査2015」を実施した。調査は7月31日~8月6日にかけて行い、1,000名の有効サンプルを集計した。
親の8割が「大学進学・大学関連の費用が家計を圧迫」
高校生・大学生の子を持つ親に、大学進学とお金に関する状況や考えを尋ねたところ、「大学進学または大学関連の費用が家計を圧迫している」に、「あてはまる(計)」と回答した割合は78.0%だった。
「大学進学で親元を離れたときの経済的負担は重い」は80.0%、「金銭的事情での大学進学断念は社会にとって損失」は88.0%がそれぞれ「あてはまる(計)」と回答している。
次に、高校生・大学生に対し、大学進学とお金に関する状況や考えについて聞いた。「自分が大学に進学する(した)ことで、家族への経済的負担が大きくないか心配」に「あてはまる(計)」と回答した割合は82.2%だった。高校生は38.5%が「金銭的事情を考えると"大学進学を断念すべきなのでは"と思う」と答えている。
大学生に対し、大学進学後、学費や生活費を稼ぐためのアルバイトで、学業が疎かになったことがあるか尋ねると、58.0%が「あてはまる(計)」と回答した。また「金銭的事情を考えると"将来的に大学中退を選択することもあり得る"と思う」に21.5%が「あてはまる(計)」と回答している。
高校生・大学生の7割が「奨学金制度」に関心がある
高校生・大学生を対象に「奨学金制度」に関心があるか尋ねたところ、70.6%が「はい」と回答した。高校生に対し、「大学進学時、奨学金制度を利用する予定か」と聞くと43.4%が「はい」と答えており、これから奨学金を利用する予定である子どもは少なくないことがわかった。
貸与型奨学金について「貸与型奨学金を利用したら、卒業後に返済していけるかどうか不安か」と聞くと、「はい」と回答した割合は78.4%だった。奨学金制度を利用する予定と回答した高校生では89.6%が「はい」と回答している。貸与型奨学金をきちんと返済できるか、懸念する子どもは多いようだ。
7割が「給付型奨学金を利用できるチャンスの拡大を望む」
一方、貸与型奨学金とは異なる給付型奨学金(大学卒業後、返済の必要がない奨学金)という制度もある。貸与型ではなく、給付型の奨学金を利用できるチャンスが拡大することを望むか尋ねると、72.4%が「はい」と答えた。
給付型の奨学金制度のひとつに、入学試験の成績が優秀だった者などに、一定額の学費を給付するなどの対応を行う「給費生制度」がある。高校生・大学生にこの制度について知っているか聞くと、「知っている」は24.8%にとどまった。給費生を採用する試験を実施している大学に関心があるか尋ねると、52.6%が「はい」と回答した。
高校生・大学生に、給費生制度は、経済格差による教育格差を縮めるか聞くと、「そう思う(計)」は70.0%だった。「給費生制度は、志の高い学生の未来を創る」「給費生制度は、優秀な学生の可能性を広げる」の同意率も80.0%、「給費生制度は、もっと普及させていくべきだ」の同意率も84.2%と高くなっている。