先週末、東京都内で白色のファッションに身を包んだグループを見かけた人もいるのではないだろうか。それはきっと、このほど日本に初上陸したフランス発祥のシークレットパーティー「Dîner en Blanc(ディネ・アン・ブラン)」のゲストだ。
「Dîner en Blanc(ディネ・アン・ブラン)」とは?
Dîner en Blancは、ゲストが全員でつくり上げるディナー・パーティー。"優雅なピクニック"をイメージした会場に、ゲスト自らがディナーをするのに必要なものを持ち寄り、食事のディレクションからテーブルコーディネートまでを手がける。
最も特徴的なのは、ゲストのドレスコードが白色であること。ドレスから靴、バッグ、アクセサリーにいたるまで身につけるものすべてが白一色と定められている。
開催会場は直前まで秘密にされるため、決められた待ち合わせ場所にいったん集まり、そこから誘導されることになる。
日本初開催の会場は聖徳記念絵画館前に
このDîner en Blancが先週末、日本に初上陸。「Dîner en Blanc Tokyo」と題して、10月3日夜、聖徳記念絵画館前(東京都新宿区)を会場に開催された。
当日は、事前にオフィシャルサイトから応募していた800組1,600名が集まった。ちなみに参加料金は、1組あたり1万2,000円(オフィシャルサイトのメンバーシップ料、椅子やカトラリーのリース代等は別途)。会場は開催直前まで秘密で、ゲストは新橋駅、新宿駅、渋谷駅、表参道の待ち合わせ場所から同所へ向かった。
個性豊かなテーブルコーディネート&ディナー
会場にゲストが集まり始め、パーティーの準備を開始したのが17時頃。ゲストはそれぞれテーブルや椅子を運び、テーブルクロスを引き、食器やグラスを並べ、食事・飲み物を配置した。
テーブルを一つひとつ見ていくと、キャンドルや電飾で灯りをともしていたり、花を生けていたりとこだわりの光るものばかり。テーブルも椅子も食器もキャンドルも電球も花も、すべて白色だ。
準備が整った19時頃、だれからともなく頭上で白いナプキンをまわし始め、その動きはテーブルからテーブルへ伝わり広がっていった。これがディナースタートの合図。合図が全体にいきわたると、そこかしこで乾杯の声と、グラスを合わせる姿が見られた。
「料理はここに来る前にみんなでつくってきました」「海外で開催されたときの写真をネットで探して参考にしました」「白いアイテムを買い集めてコーディネートしました」など、パーティーの準備も含めて楽しんだ様子のゲストたち。各テーブルには個性豊かな食事が並び、思い思いのディナータイムを満喫していた。
会場ではゲストはもちろん、運営スタッフ、ステージ上のDJ、楽器演奏者、ダンサー、報道関係者に至るまでその場にいるすべての人が白色の服に身を包んでいるドレスコードの徹底ぶりだった。
友人とのディナーパーティーに始まり、今や世界61都市に拡大
このDîner en Blancの発祥は約25年前にさかのぼる。
1988年の夏、数年ぶりに海外からパリに戻ったフランソワ・パスキエ氏は、久しぶりに友人たちと会うためにディナーパーティーを計画。参加希望者があまりにも多かったので、会場をブローニュの森にし、お互い分かりやすいように白い服を着て集まろうと提案した。さらに、参加者は友人を1人連れてくるという決まりもつけ加えた。パーティーは大成功し、参加者たちが次の年にはさらに友人を呼びたいと言い出した。こうしてDîner en Blancのコンセプトが生まれた。
さらに3年後の1991年6月、初回のパーティーに参加した友人たちは、首都パリの中心にある「ポンデザール橋」でのディナーを企画。おそらく橋でのこのようなイベント開催を地元当局が許可することはないだろうと分かっていたので、ディナーを成功させるため、開催会場を直前まで秘密に。これが、世界最大級のシークレット・ディナー・パーティーへと変貌を遂げていったのだという。
2012年には、「ディネ・アン・ブラン・インターナショナル」(本部/カナダ・モントリオール)が発足。今年は、20カ国以上61都市でパーティーの開催が予定されている。日本では来年開催する予定があるという(時期や場所は未定)。
(C)DînerenBlanc International