10月5日から7日(太平洋夏時間)にかけての3日間、米カリフォルニア州ロサンゼルスにあるロサンゼルスコンベンションセンターおよびマイクロソフトシアターにおいて、Adobe Systems主催のクリエイティビティ・カンファレンス「Adobe MAX 2015」が開催される。プレイベントは3日から開催されており、会場のあるロサンゼルスのダウンタウンには世界中から多くのクリエイターが集まり、開幕の瞬間を心待ちにしている。
Adobe MAXとは?
Adobe MAXは、もともとはWebデベロッパーを主なターゲットにしたデベロッパー向けイベントとして開催されていたが、Adobe MAX 2013からはより広範な"クリエイティビティ"をテーマとしたクリエイター向けのカンファレンスとして生まれ変わった。
3日間の会期中には、同社が提供する各種クリエイティブツールに関する動向をはじめとして、デザイナーやフォトグラファー、ビデオクリエイターなどに向けた技術トピックや、最先端のソリューションの発表などが行われる。Adobeのエバンジェリストや、最前線で活躍するクリエイターの話を直接聴くことができる貴重な機会となる。
Creative Cloudはどう進化するか
今年のAdobe MAXで最も期待されているのは、何と言っても同社が提供する「Adobe Creative Cloud」に関するアップデートだろう。今年6月には誕生以来2度目となるメジャーバージョンアップが行われ、Creative Cloud(2015)がリリースされており、これが直近の大きなアップデートである。
このアップデートでは、ツールやデバイスをまたいだコンテンツの同期・共有をよりシームレスに行うための「Creative Sync」と呼ばれる新機能が追加された。これによって、複数のツール間を行き来しながらCreative Cloud全体をひとつの統合されたクリエイティブツールとして利用するという、Adobeが従来より提唱してきたワークフローがよりスムーズに実現できるようになった。
また、有償のストックコンテンツサービス「Adobe Stock」が開始されたのもこのときである。Adobe Stockの大きな強みはCreative Cloudツールとシームレスに連携している点で、各デザインツール内から直接Adobe Stockにアクセスし、画面を切り替えることなく任意のコンテンツを取り込むことができるようになっている。
Creative Cloud(2015)のリリースからはまだ4カ月弱しか経っていないので、今回のAdobe MAXでメジャーバージョンアップが行われる可能性は低い。しかし、Creative Cloudのコンセプトは一斉バージョンアップにとらわれない継続的なアップデートであるため、このタイミングで大幅な機能拡張が発表されることは間違いないだろう。
注目すべき大きなポイントは、やはりモバイルアプリの強化だ。長年の開発である程度完成された形になっているデスクトップツールに対して、モバイルツールはまだ発展途上の段階であり、新しいツールも続々と登場している最中だ。例えば先日開催されたIBC 2015でAdobeは、Photoshopの技術をベースとした新しい写真レタッチアプリ「Project Rigel」をお披露目している。当然、Adobe MAXでも何らかの発表を期待していいはずだ。
同社が提唱する"場所やデバイスを問わないワークフロー"の実現のためには、モバイルツール群のより一層の拡充と、ツール間の連携の強化が不可欠である。その辺りが今回のアップデートの主要なポイントになるであることは想像に難くない。
もちろん、従来のデスクトップツールの機能強化にも大いに期待したいところだ。これまでもアップデートの度に"Adobe Magic"と呼ばれる魔法のような新機能の数々を見せられてきた。今回も何か驚きの新機能を披露してくれるはずだ。