SMAPの木村拓哉(42)が三池崇史監督(55)と初タッグを組み、人気マンガ原作の時代劇映画『無限の住人』(2017年公開)で主演を務めることが5日、発表された。木村が時代劇で主演を務めるのは、興行収入41億円を記録した『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりとなる。
原作は、沙村広明氏の漫画家デビュー作となった同名漫画。1993年から2012年まで漫画雑誌『月刊アフタヌーン』(講談社)で連載され、全30巻の単行本が累計発行部数500万部を記録するなど人気を博した。1997年に第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。英語版が2000年にアイズナー賞最優秀国際作品部門を受賞し、現在までに世界22の国と地域で刊行されている。
木村が演じるのは、百人斬りの異名を持つ不老不死の侍・万次。剣客集団・逸刀流(いっとうりゅう)に両親を殺された少女・浅野凜(あさのりん)が仇討ちを遂げるため、万次に用心棒を依頼することから映画のストーリーが展開。依頼を受けた万次は凜と共に逸刀流との戦いに身を投じる。
原作について木村は「僕自身、好きな世界観」とした上で、「万次を『死ねない』と考えるか、『不死身』ととるかは一線上にあるものだと思います」と説明。「原作にある『死なない』ことと『死ねない』ということの向き合いについては、今回の脚本にも描かれているので、そこをどう体現するのか、監督が求めるものがどこなのか、頭でっかちにならずに現場を体感しながら演じたいと思います」と意欲を燃やす。
また、三池監督との初タッグについては、「今回参加するにあたって三池崇史さんという存在が大きかったですし、映画監督が映画を撮りたいという前提で自分を欲してくれたということが一番大きかったです」と振り返り、「映画監督に求められるというのは役者にとって最もありがたいことなので、『三池崇史監督が僕のことを要してくださった』という事実に、自分の中でなんかざわめいた、という気持ちがありました」と役者としての興奮を伝える。
さらに、「監督もプロデューサーも目線の先に海外を意識しているなと感じましたし、僕自身もヨーロッパはじめ海外の方々にも観ていただけたらと思っていますが、まずはしっかり演じることだと思っています」とすでに海外も視野に。「あとは、三池監督がアクションにしてもドラマにしても、三池監督のエンターテイメントにしてくれるので、もちろん自分の"個"はありますけど、現場では監督の求める"素材のひとつ"だと思うので、共演者、スタッフと集中して現場に臨みたいと思います」と意気込みを語った。
一方、三池監督は「昭和と平成を串刺しにするスーパースター・木村拓哉を用心棒(主人公の万次)につけた我ら映画界の逸刀流・三池組は世界最強である。これはそういう映画です」と"鬼に金棒"状態。原作者の沙村氏も「大好きな監督さんと日本最高峰の主演、才能ある様々なキャストとスタッフの力を借り、『無限の住人』に再び命が吹き込まれるのを心から楽しみにしています」と期待を寄せる。
「三池監督が面白がってくれたところから、すべてが始まりました」ときっかけを語るのは小岩井宏悦プロデューサー。三池監督から木村の名が挙がり、「確かに『死なない侍』という存在が数十年もトップの俳優として色あせない彼の存在感と重なり、アクションを具現化する身体能力、色気、この作品が持つ哲学を支えることができる人間力など、確かに彼しかいない、と目からうろこでした」と納得の起用だった。かつて、木村が主演を務めたフジテレビ系月9ドラマ『ラブジェネレーション』でタッグを組んだ間柄だったが、「徹底的に傷つく壮絶なキャラクターを引き受けてもらえるか」で半信半疑。木村は快諾したが、「このリリースが世の中に出るまで、信じないようにしています(笑)」と話していた。