おにぎりやおかずを動物、花などのように仕上げてかわいらしくデコレーションしたお弁当「デコ弁」。筆者は現在未就学児の母親だが、妊娠前からデコ弁が流行しだし、「これは大変なものがはやってしまった……」と感じていた。「子どもがうまれたらこれをつくらないといけないのか? 」とうんざりしていた。

大体、海苔を小さく切って貼って切って貼って。ミニトマトに切れ目を何箇所も入れて飾り切りをしたり、食材をベタベタベタベタ何度も触って不衛生極まりない。雑菌がつきやすいデコ弁なんて子どもにつくりたくない。……こんな風に夫には話していた。

しかし、本音はこうだ。私は料理は好きなのだが、お菓子づくりは苦手。テキトー料理が得意で、きちんと計量しないといけない製菓は苦手なのだ。単に、細かい作業がある料理が嫌いだったのだ。

ママ友は完成度の高いデコ弁、私はフツーのお弁当

そして妊娠、出産。子どもは離乳食を卒業し、しばらくするとお弁当を食べる年齢となった。ママ友との子連れピクニック。ママ友は絵本のようなかわいらしいデコ弁を用意してきた。私は普通の海苔のおにぎりに玉子焼き、野菜の煮物、肉団子を詰めたお弁当を子ども用に用意していた。

子どもは友達のお弁当を見て「かわいいぃー! 」と言いながら、私のつくったお弁当も「おいしぃー! 」と全部食べてくれた。子どもは一言も「お友達のお弁当のほうがかわいかった」とは言っていない。でも、なんとなく罪悪感のようなものを覚えた私は翌日、デコ弁用の道具を購入。パンダのおにぎりに星型人参、そして薄焼き玉子でつくったお花。オクラは断面が星型になるので肉巻きにしてカット。これらをお弁当箱に詰めて子どもの夕食に出した。写真を見てもらえばわかるが、決してイケてるデコ弁とはいえない。でも、デコ弁超初心者の私にはこれが限界だった。

「はい、どうぞ」とお弁当を子どもに出す。

「わぁ~~!!!!!!!」

上出来とはいえないデコ弁だが、子どもは大喜び

子どもは両手を上げて大きな声を出して喜んだ。「パンダさん、かわいいねぇ」「これはお花? 」「あ、星さんだぁ~」などとうれしそうに話し、あっという間に完食してくれた。

私は決めた。来週のピクニックでは、もっとすごいデコ弁つくるぞ。もちろん、衛生面には十分気をつける。

デコ弁反対だったのに、なぜこんなにも簡単にデコ弁賛成派に変わったかって? そりゃあもちろん、子どもの笑顔がうれしいからですよ。単純ですが。

……明日、かわいいお弁当箱買ってこよ。