お金や法律などは誰にとっても身近なものなのだが、それらが管理されている現場はまるで別世界のことのように感じるのではないだろうか。実は、そういった官公庁&日本の重要機関は気軽に、しかも無料で見学できるものがたくさんある。今回はそのうちの4カ所を紹介しよう。

日本銀行の歴史ある地下金庫を探検

日本で唯一お札を発行している銀行である「日本銀行」(中央区)。ここではガイド付きの館内見学ツアーを行っている。

日本銀行本店で地下金庫も見学

ツアーでは重要文化財となっている日本銀行本館と、新館で業務を行っている様子を見学できる。メインはやはり、明治29年(1896)に完成したという本館。美しい西洋建築で、館内の装飾や古いエレベーターなどは一見の価値あり。レンガ造りの地下に入り、108年もの間使用されていた金庫を見学しよう。

また、外側からもじっくり建物を眺めてもらいたい。中庭は昔、馬車を乗り付けてお金を運ぶ場所だったのだそう。すすけている外壁は2度にわたる世界大戦と関東大震災を経た跡なのだとか。日本のお金を守ってきた勲章のようなものかもしれない。

筆者が外国人と2人で訪れた際、大勢の日本人グループとは別に、英語を話せるスタッフとたった3人で巡ることができたということがあった。場合によるかもしれないが、かなりおトク感満載だったことを思い出す。

見学は平日限定で要予約。顔写真付き身分証をお忘れなく。アクセスは東京メトロ各線「三越前駅」より徒歩1~2分となる。

国会議事堂で化石を発見!?

日本の立法機関である「国会議事堂(参議院)」(千代田区)。学生の頃の社会科見学で訪れたことのある人も多いのではないだろうか。大人になってから訪れてみると、また違った角度から見られるかもしれない。本会議の傍聴は原則自由にできるが、それとは別に観光として楽しんでみたい。

国会議事堂(参議院)は大人になってから見るとまた違う感慨深さも!?

見学できる場所は本会議場傍聴席、天皇陛下の御休所、皇族室、中央広間など。会議場の天井は自然光を通すステンドグラスが施されているなど、細部にわたる装飾も見逃せない。また、柱には化石が埋まっているものも多いという。観察しながら歩いてみよう。

10人以下であれば申し込み不要のため、直接参観窓口へ向かおう。平日の9:00~16:00まで、毎時見学ツアーを行っている。なお、「衆議院」でも同様の見学を行っている。

アクセスは東京メトロ各線「永田町駅」もしくは「国会議事堂前駅」より徒歩3~6分となる。見学の後は国会前庭庭園もどうぞ。和式と洋式の庭園は四季折々の彩りを見せる。無料であるにも関わらず人が少ないため、ゆったりとくつろげるだろう。

図書の歴史が詰まった国立国会図書館

日本で発行された全ての本が所蔵されている「国立国会図書館」(千代田区)。国会議事堂の隣にあるため、ハシゴして訪れてみたい場所だ。

国立国会図書館は食堂もお忘れなく!

いわゆる図書館なので当然誰でも利用できるのだが、この見学ツアーでは通常立ち入りできない地下書庫なども見ることができる。膨大な数の本が収められているため、書庫は地下8階にまで及ぶという。吹き抜け部分の天井(地上)部分には天窓があり、地下にいても日の光を感じられるようになっている。粋な計らいだ。

見学後は地上6階にある食堂へ行ってみよう。とても昭和チックな食堂で、牛丼とカレーが一皿になった「図書館カレー」や「かつカレーメガ盛り」などといった学食を思わせるメニューが豊富。おなかを空かせて訪れたい。

見学は火~金曜日までで要予約。アクセスは東京メトロ各線「永田町駅」もしくは「国会議事堂前駅」より徒歩5~12分となる。

明治時代を感じる法務省庁舎

法をつかさどる「法務省」。ここにはドラマなどでもおなじみの検察庁も含まれている。赤レンガの庁舎は明治28年(1895)に完成したもので、一度は戦火によりレンガ部分を残して焼け落ちてしまったそう。しかし、その後創建当時の姿に復元されたという。様々な歴史を背負ってきた建築だ。

明治時代の雰囲気も楽しめる法務省

ここでは館内を隅々まで見学とはいかないものの、「法務省資料展示室・メッセージギャラリー」を自由に見学できる。現在や過去の司法や建築に関する資料が展示されている。しかし、何といっても見どころは赤レンガの建物。明治時代の雰囲気を感じられる館内にいると、まるで時が止まったかのような錯覚に陥るかもしれない。

見学の予約は不要。アクセスは東京メトロ各線「桜田門駅」もしくは「霞ヶ関駅」より徒歩1~5分となっている。


そのほか、「農林水産省」の食堂が入館証なしで誰でも利用できるようにリニューアルされ、「日本の食と文化」をテーマに国産・健康増進にこだわったメニューを楽しめるなど、意外と訪れやすい重要機関はたくさんある。官公庁が集中した霞ヶ関巡りなどを楽しんでみてはいかがだろうか。

政府機関見学についてもっと知りたい方は「東京都にある無料で見学できる政府機関4選 - 消防庁や警視庁本部に潜入も!」を併せてどうぞ。

筆者プロフィール: 木口 マリ

執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。