米AMDは29日(現地時間)、組み込み向けGPUの新モデル「Radeon E8950」「Radeon E8870」「Radeon E6465」を発表した。このうち、「Radeon E8950」と「Radeon E8870」はパフォーマンス重視のハイエンドモデルで、「Radeon E6465」はTDP20Wの電力効率重視のモデルとなる。
AMDでは以前より、組み込み市場に対する積極的な取り組みを見せているが、特にゲーム機」「デジタルサイネージ」「医療機器(の画像関連)」「産業機器の制御と自動化」「シンクライアント」「通信インフラ」の6分野を重点に、製品を投入する。
今回発表されたうち、「Radeon E8950」は高い画像処理能力が求められる「医療分野」、「Radeon E8870」はスロットやパチンコのような「ゲーム機(遊戯機)」や「デジタルサイネージ」といった用途に向けて提供される。AMDは2014年2月に「Radeon E8860」を提供しているが、「Radeon E8950」と「Radeon E8870」はよりハイパフォーマンスで、「Radeon E8870」は「Radeon E8860」比で約2倍、さらに「Radeon E8950」は「Radeon E8870」比で20%高い性能を持つという。
一方の「Radeon E6465」はパフォーマンスに比べて、電力効率や複数の画面出力などが重視される「シンクライアント」「通信インフラ」といった領域をターゲットとする。
フォームファクタとしては、PCI Expressカードに加え、MXM(Mobile PCI Express Module)、MCM(Multi-Chip Module)とさまざまな形で提供される。
Radeon E8950
Radeon E8950はMXM(Type B)のみの提供となる。製造プロセスは28nmで、GCNアーキテクチャをベースとし、32基のCompute Unitと256bit接続のGDDR5 8GBメモリをそなえる。GCNアーキテクチャでは、Compute Unitは1基当たり64基のStream Processorで構成されるので、合計で2,048基のStream Processorを搭載する。単精度の浮動小数点演算性能は最大3TFLOPS。TDPは95W。4K解像度に対応したデコーダとエンコーダを搭載するという。
このほか、Eyefinityによる6画面出力やDirectX 12、OpenGL 4.5、OpenCL 2.0といったAPIをサポートする。
組み込み向け製品は、コンシューマ向けの製品と比べて、長期にわたって製品が供給される点が特徴だが、Radeon E8950は3年間の供給とサポートが表明されている。
Radeon E8870
Radeon E8870は、PCI ExpressカードとXMX(Type B)で提供する。こちらも「Radeon E8950」と同様に製造プロセスは28nmで、GCNアーキテクチャをベースとしている。Compute Unitは12基で、Stream Processorは768基。メモリは128bit接続のGDDR5 4GB、TDPは75W。単精度の浮動小数点演算性能は最大1.5TFLOPS。
H.264、VC-1、MPEG-4、MPEG-2のデコードに対応するほか、Eyefinityによる6画面出力やDirectX 12、OpenGL 4.5、OpenCL 2.0といったAPIをサポートする。製品の供給とサポートは5年間。
Radeon E6465
Radeon E6465は、PCI ExpressカードとXMX(Type A)、MCMで提供する。製造プロセスは40nm。2基の演算ユニットを備える。メモリは64bit接続のGDDR5 2GB、TDPは20W。単精度の浮動小数点演算性能は最大192GFLOPS。
H.264、VC-1、MPEG-4、MPEG-2のデコードに対応するほか、4画面出力やDirectX 11.1、OpenGL 4.5、OpenCL 2.0といったAPIをサポートする。製品の供給とサポートは5年間。