東京商工リサーチは29日、第一中央汽船と関連のSTAR BULK CARRIER CO.,S.A(パナマ)が東京地裁へ民事再生法の適用を同日申請したと発表した。申請代理人は福岡真之介弁護士ほか。
東京商工リサーチによると、負債総額は第一中央汽船が1196億800万円、STAR BULK CARRIER CO.,S.A.が568億5900万円で合計1764億6700万円。
負債総額は今年最大。今年に入り上場会社の倒産は1月のスカイマーク、4月の江守グループホールディングスに続き、3社目という。
海運業者の倒産としては平成24年7月の三光汽船に次ぐ、歴代3番目となった。
東京商工リサーチによると、同社は、旧住友金属工業など国内外の製鉄会社向けに鉄鉱石や石炭をばら積み船で運送する海運会社。連結ベースでの業界売上高は5位(平成27年3月期)。不定期船航路を中心に外航・内航海上運送を手掛け、ピーク時の平成20年3月期には売上高1666億2700万円(単体)をあげていたという。
しかし、リーマン・ショック以降、海運市況の悪化で船腹過剰に陥り、需給不均衡から売上が減少。さらに原油価格の高騰から21年3月期以降、23年3月期を除き赤字決算が続いていたという。こうした継続的な赤字計上で24年3月期決算から「事業活動の前提に重要な疑義を生じさせるような事象」を記載し、24年4-6月期決算以降は大幅な損失計上と資金繰り懸念から監査法人が「継続企業の前提に関する疑義(GC注記)」を付記していた。
このため、26年2月から商船三井の支援を受け、子会社株式の譲渡、資産の売却、用船契約の解約など船隊規模の適正化を進め、減速運航による燃料費の圧縮や販管費の削減で財務体質の改善に取り組んできたが、27年3月期は中国の景気減速に伴う石炭輸入量減少など、市況低迷による運賃の下落もあって売上高は1237億9000万円に減少。営業利益、経常利益ともに赤字を計上し、特別利益で訴訟損失引当金繰戻益57億6300万円があったが最終利益は26億6000万円の大幅な赤字を計上していたという。
今年度(28年3月期)に入り、東京電力向け石炭専用船輸送事業と子会社株式を商船三井に譲渡するなど債務の圧縮を進めていたが、業績好転が見込めず今回の措置となった。