宮崎交通とヤマト運輸、宮崎県、宮崎県西都市(さいとし)及び宮崎県西米良村(にしめらそん)は10月1日より、西都市と西米良村を結ぶ路線バスで宅急便を輸送する西日本初の「客貨混載」を開始する。

路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」を開始

近年、全国の中山間地域等で過疎化や高齢化が進む中、宮崎県の西部に位置し山林に囲まれる西都市東米良(ひがしめら)地区と西米良村は年々人口が減少し、高齢化率も約40%になるなど、県内でも特に過疎化や高齢化が進んでいる。宮崎県では2011年3月に制定された宮崎県中山間地域振興条例に基づく「宮崎県中山間地域振興計画」(平成23年9月策定、2015年7月改定)により、中山間地域の課題解決や活性化に向けて住民の安全・安心な暮らしの確保などに取り組んでいる。

宮崎交通は宮崎県のほぼ全域をカバーするバス路線網を保持し、年間約1,000万人を運ぶ県内最大手のバス会社として、自治体や地域企業と緊密に連携を図りながら効率的で持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて取り組んでいる。また、ヤマト運輸は全国の自治体や企業と連携し、「見守り支援」や「買い物支援」などのサービスを提供する「プロジェクトG(Government)」を推進している。

こうした両社の取り組みに対して宮崎県と西都市及び西米良村は相互連携を図り、バス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的に路線バスで宅急便を輸送する「客貨混載」を開始することになったという。

路線バスに一定量の宅急便を積載できるように車両中央部の座席を一部減らし、荷台スペースを確保。また、客貨混載専用の路線バスと分かるように「ヒト・ものハコぶエコロジーバス」と銘打ったラッピングを施している。

車両中央部の座席を一部減らして荷台スペースを確保

これまでヤマト運輸は西都市東米良地区と西米良村の利用者に宅急便を配達する際、西都市にある西都宅急便センターから約50kmの道のりを約1時間半かけて集配車両で輸送していた。また、両地域の利用者から集荷した荷物は、西都宅急便センターに輸送するため、当日発送の集荷締め切り時間は15時ごろとなっていた。

「客貨混載」バスを導入することにより、路線バスの空きスペースで宅急便を輸送することができ、バス路線の生産性が向上するとともにバス路線網の維持につながる新たな収入源を確保することができる。また、西都市東米良地区と西米良村を担当するヤマト運輸のセールスドライバー(以下、SD)が西都宅急便センターに戻る必要がなくなるため、両地域に滞在する時間が増え、当日発送の集荷締め切り時間が17時まで延長できる。さらに、走行距離の削減につながるため、CO2排出量低減にも貢献できるという。

「客貨混載」バスの概要(日曜日・祝日は10分遅れとなる)

地域住民にとっても路線バスの路線網が維持され安定的に利用できることで、病院やスーパーなど多様な施設へアクセスでき、生活基盤の維持・向上につながる。また、SDが西都市東米良地区と西米良村に滞在できる時間が増えるため、利用者からの配達時間の変更などの要望に対して、より柔軟にお応えすることができるようになる。さらに、集配時に利用者の異変に気づいた場合、自治体に連絡する見守り支援を行うことで地域住民の生活サービス向上につながるという。