4-6月期GDPぎりぎりプラス0.2%
オーストラリア経済や為替の見通しについて、最近良く質問を受けますが、皆さんも気になりますか? 今号ではそんなお声に応えます。
9月14日、オーストラリアのアボット首相の突然の辞任が報じられました。
資源安により経済の失速が鮮明となり、国内の雇用環境が悪化したことが一因とされています。
豪統計局が今月発表した4-6月期の国内総生産(GDP)は、前期比0.2%増と1-3月期の同0.9%プラスから伸びが鈍化しました。なんとかプラスを維持できたものの、市場予想を下回る低い水準にとどまりました。失業率は6%台で高止まりしている状況です。
中国経済の影響
オーストラリア経済にとって切っても切れない関係の国が世界第2位の経済規模を誇る中国です。
オーストラリアにとって中国は最大の輸出先で、中国向けは輸出全体の3割超(2014年)を占めます。
中国景気の変調による資源需要の鈍化や過剰供給の解消にはしばらく時間がかかりそうです。仮に中国の輸入が10%減少した場合の直接的な影響だけで、オーストラリアのGDPを0.7%押下げる影響があるとピクテでは試算しています。
景気減速が懸念されている中国経済の動向はオーストラリア経済をみていくうえでも重要なポイントといえそうです。
通貨安の効果
オーストラリア準備銀行(豪中銀)は今年、2月と5月にそれぞれ0.25%、合計0.5%の利下げを行い、現在の政策金利は過去最低水準の2%となっています。
金融緩和の効果が広がり、住宅市場を中心に国内需要が景気を下支えする要因となっています。また豪ドル安は資源価格の下落や中国経済減速の影響を幾分和らげ、同国経済にとってプラスの影響を与えています。
オーストラリアを取り巻く環境を考えると、豪ドル安が望ましいようです。
為替の先行きを占ううえで重要なのは、その国の経済事情を知ることですね。要チェック!
■豪ドルとオーストラリアの政策金利の推移(日次、期間:2005年9月15日~2015年9月15日)
●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。