株主優待品でおトク生活を満喫する有名人の登場で、すっかり知名度がアップした「株主優待」。株式投資でありながら、あまり株価に一喜一憂しないでいられることから、初心者にも人気の日本株投資方法ですが、最近さらに優待内容がお得になる傾向があります。そのキーワードが「長期保有」です。
まずは、株主優待の基礎知識を確認
株主優待は、決算日に株主になっていれば優待品がもらえるというわけではありません。 権利確定日(株主優待や配当など株主に与えられる権利が確定する日。通常は決算日)の 3営業日前(購入日を含む、土日祝日を含まない。下図)までに購入しなくてはいけません。
また基本的には単元株を買うと優待品がもらえますが、単元株数は銘柄によって異なりますし、中には単元株数では優待がもらえない銘柄もあります。その反対に、保有株数が多いと株数に応じて優待内容が増えたり、保有年数が長くなると内容がアップする企業もあります。
長期株主に優待を手厚くする方向へ向かっている
企業が株主優待を導入する理由は、小売業や外食業、製造業といった企業が自店舗で利用できる割引券や自社製品を配布することで、多くの株主に自社製品やサービスへの理解を深めファンになって欲しいという考えがあるからです。最近ではそれだけでなく、知名度の低い企業が個人投資家にアピールするため、クオカードといった金券や米などを優待品にする企業もあり、新規に導入する会社も増えています。
株主優待を狙って株主になる人もいますが、個人投資家の場合、株価が上がると利益確定のために売却する傾向もあります。そこで長期に保有して安定した株主になって欲しい、NISA(少額投資非課税制度)をきっかけに投資を始めた人に株主になって欲しい、といった意向から、株主優待制度をさらに深め長期株主への優待を手厚くする傾向が高まっています。
2015年も長期保有優遇の企業が続々登場
2015年も個人投資家に知名度の高い企業が、続々と長期保有優遇の株主優待を発表しています。これからは優待品を狙って株主になるのならば、長期保有の優遇制度の有無もチェックの必要がありそう。
しかし株主優待は、あくまで株主に対する"おまけ"のようなもので、日本独特の制度。導入も廃止も、企業の業績や考え方で変更されることがありますから、株価同様に定期的に内容を確認しましょう。
<著者プロフィール>
鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。